春はここにもくる。
樹の活気よわる欅も枝先にみどりの小さき葉を揺らしをり
山の表に朝の日あたり落葉樹の葉むらの色かみどりあかるむ
2021年4月6日（火）
2021年4月5日（月）
今日は脳外科病院でCTを撮り、診察。少しづつよくはなっている。
春風に天に浮遊す。みづきの花はかなき白は死者の色なり
青山文平『泳ぐ者』読了。これまたハードな時代小説であった。二つの事件の複雑な真相を解いてゆく道すじにもてあそばれているかのようである。
風呂の鏡につくづくと視るこの貧相湯気に歪めるこの痩せ男
2021年4月4日（日）
昨夜、嬉しい電話があった。高校時代来の友人が4月1日付けで奈良国立博物館の館長になった。それまでは東京国立博物館の副館長であった。めでたい。
あんぱんをざつくり二つに割りて喰ふふたつに分けて妻と食うぶる
病院の満天星の垣に添ふ白き壺花風にゆれをり
2021年4月3日（土）
今日は神武天皇祭。幕末にはじまった宮中祭祀であり、奈良の橿原の畝傍山東北陵でも祭事が行われる。近代日本の「創られた伝統」の一つであるが、「神武さん」と親しまれてもいた。わが家の近くにも日露戦争の際に建立された石碑を祀る珍しい神武社がある。
神武社のさくらの花も散り果てて枝はみどりの葉に麗しき
葉脈のうるはしき槐の葉にあたる朝のひかりに思慮深くなる
2021年4月2日（金）
昨夜、嬉しい電話があった。高校時代来の友人が4月1日付けで奈良国立博物館の館長になった。それまでは東京国立博物館の副館長であった。めでたい。
この時間、この時の間も古都寧楽の寺社のさくらは花散らしをり
巷には白きつつじも咲きそろひ悪事を企むにはよき季節なり
2021年4月1日（木）
世間では今日から新しい年度だそうです。
中庭のメタセコイアの芽のみどりかすむが如く四月来るなり
現実があまりに莫迦げてゐるゆゑに万愚節楽しくもなし
2021年3月31日（水）
朝湯を楽しみ、湯村温泉周辺を散策、甲府駅界隈に遊ぶ。
朝の湯にしばし游べばしづかなりひよどりが来てさくらに遊ぶ
瓶にさすあしびの花のこぼれたり宿の床の間花こぼれをり
甲府城の染井吉野が格別の花盛りであった。
甲府城花の陣なり時の鐘
窓を開ければ虫くるカフェ楽しきか卓上を七星瓢虫歩む
てんたう虫を指に這はせて指先へわが指を経て天を目指せ
一泊なれど往路、復路のそれぞれに思ひあり往路に喜び多き
