2021年2月4日(木)

天平時代の謹直なる文字『南海寄帰(なんかいきき)内法伝(ないほうでん)』断簡

<主人メモ>
八木正自『古典籍の世界を旅する』読了。
いささか自慢げなところが鼻につくが、
古書・古文書を扱うことを渡世のなりわいとする商売人としてはしかたないところだろう。

座具一布肩にみとめて苾芻(びつしゆ)ひとり莞爾と笑ふ那爛陀(ナーランダ)寺に

<主人メモ>
「苾芻(びっしゅ)は僧、「那爛陀寺」はインドの古寺。

2021年2月1日(月)

きさらぎの初めの朝も西空にくらげ色した月高くあり

日没(ひい)(きは)のみなみへ延びる雲の底その金色(こんじき)荘厳(しやうごん)をみよ

<主人メモ>
堂場瞬一『バビロンの秘文字』読了。
緊急事態のさ中どうにもやるせない鬱屈があるのか
物語の世界に溺れたくて読みはじめたのだが、
なかなか手ごわいサスペンスであった。

2021年1月31日(日)

谷津(たにづ)駅まで千三百円の硬券(キップ)購ふ三日つづけて改札口前

冬ごもりのやうなる日々を重ねきて一月尽は酒飲むか少し

ちびりちびりしやぶる程度の酒なれどハツ子よろこぶ心温もる

<主人メモ>
夢は谷津駅行きの切符を買う場面。
それが三日に及ぶ。
駅員の嫌そうな顔。
この谷津駅こそがわが悪夢の鉱山地帯の最寄り駅に違いない。
じっさいの谷津駅は京成電鉄にある。
千葉県習志野市。
縁もゆかりもないし、わが悪夢の谷津駅とはなんの関係もなさそうだが、
なにゆえ私はこの駅周辺地に悩まされるのであろうか。
なにゆえ谷津駅なのか。