日に四度体温・血中酸素濃度・血圧測り生き延びてゐる
天の筆が三刷毛薄き雲を描く春を誘ふ空の色なり
冬の木の石榴の枝に目白くる鳴き連れて二羽木々渡りくる
日に四度体温・血中酸素濃度・血圧測り生き延びてゐる
天の筆が三刷毛薄き雲を描く春を誘ふ空の色なり
冬の木の石榴の枝に目白くる鳴き連れて二羽木々渡りくる
天平時代の謹直なる文字『南海寄帰内法伝』断簡
<主人メモ> 八木正自『古典籍の世界を旅する』読了。 いささか自慢げなところが鼻につくが、 古書・古文書を扱うことを渡世のなりわいとする商売人としてはしかたないところだろう。
座具一布肩にみとめて苾芻ひとり莞爾と笑ふ那爛陀寺に
<主人メモ> 「苾芻(びっしゅ)は僧、「那爛陀寺」はインドの古寺。
さ~てけふは何に変身して行くか春なれば花にうつろふ蝶か
パンジーの黄色の花から紫へさても妖しき花へと移る
<主人メモ> 暦の上では立春、さすがに穏やかな日である。
雨後の苔にひかりありけり夜の室に端坐妄想するに思ひ出づ
天に花咲け、地に実着け 福豆を撒く 福豆を喰ふ
きさらぎの初めの朝も西空にくらげ色した月高くあり
日没る際のみなみへ延びる雲の底その金色の荘厳をみよ
<主人メモ> 堂場瞬一『バビロンの秘文字』読了。 緊急事態のさ中どうにもやるせない鬱屈があるのか 物語の世界に溺れたくて読みはじめたのだが、 なかなか手ごわいサスペンスであった。
谷津駅まで千三百円の硬券購ふ三日つづけて改札口前
冬ごもりのやうなる日々を重ねきて一月尽は酒飲むか少し
ちびりちびりしやぶる程度の酒なれどハツ子よろこぶ心温もる
<主人メモ> 夢は谷津駅行きの切符を買う場面。 それが三日に及ぶ。 駅員の嫌そうな顔。 この谷津駅こそがわが悪夢の鉱山地帯の最寄り駅に違いない。 じっさいの谷津駅は京成電鉄にある。 千葉県習志野市。 縁もゆかりもないし、わが悪夢の谷津駅とはなんの関係もなさそうだが、 なにゆえ私はこの駅周辺地に悩まされるのであろうか。 なにゆえ谷津駅なのか。
燃やすゴミ20ℓの袋づめそこそこ重いゴミ捨て場まで
土曜日の八時前後は混みあつてゴミ集積場に六人が入る
ゴミ袋ぶら提げてくる六人の入りて出てくる踊るが如くに
<主人メモ> 土曜日は可燃ゴミの取集日である。