2021年5月17日(月)

今日は風が激しい。

  青嵐さつきの花を吹きちらし中庭(パティオ)はあまたの花首落す

朝井まかて『雲上雲下』読了。これすごい。昔話の主人公満載の笑い、ペーソス、そして涙。昔話を聞きたくなる。

  こらへこらへてふきだす笑ひ夢の(うち)に「ぷほっ」と笑ふ(ばばあ)が潜む

  ねむりこむわれを囲みてささやくは魍魎(もの)のこゑかも片目をあける

  雲上雲下善人のみにあらずして世界の終りもとつぴんぱらりのぷ

「とっぴんぱらりのぷ」は昔話の結びのことば。

2021年5月16日(日)

「NHK日曜美術館」でひさびさに「モナ・リザ」を見た。う~ん…、モナ・リザと声にして、節をつけて呼んでみる。祈りのことば?呪いのことば?

  世のはじめに女神微笑す。モナ・リザ祈りのこゑか、呪ひ…(う~む)モナ・リザ

紹介コーナーにおいて平塚美術館の「川瀬巴水展」を知る。さっそく午後妻と訪れる。障碍者手帳のおかげで無料だ。感謝。

  金沢の夏の影こき塀ぎはに日傘の女を追ふ巴水の眼

2021年5月15日(土)

1932(昭和7)年の五・一五事件から89年、いまだ謎が多いのだという。昨年出版された小山俊樹『五・一五事件』を読んでいる。犬養毅を襲った三上卓がなんだか魅力的だ。戦後も二度事件をおこし逮捕されている。海烈号事件、三無事件。三上は、「青年日本の歌」(昭和維新の歌)の作詞者で、昔右翼少年であった私、この歌は好きだ。

  みどり色のざくろの葉々にいくつかの朱色の花のひらく朝なり

  テロにより時代が動く時がある三上卓銃のトリガーを引く

2021年5月13日(木)

今日は朝から雨だ。しとしとと降りつづく。

  朝初の蛇口を開けて湯になるまで水の流れの変化(へんげ)(たへ)なり

  電柱の陶製碍子にふる雨の白くながるる雨にかがやく

午後、雨が止む時間があったので、川を見に行く。

  曇天に野あざみ見つけふり返る

  雨ふれば寒きか()を寄せ野良五匹しばし見詰めてわれに近づく

2021年5月12日(水)

心臓ペースメーカー・ハツ子がわが体内に同居するようになって、昨日で半年。だいぶ慣れたが、まだ完全に同化したとはいえないようだ。今日は曇天。

  風呂の湯に浅く浸かりし時におもふわが心ノ臓を動かすハツ子

  わがハツ子よ少しはこの()に馴れたるかともに(たづさ)へ半年を()

  路傍には小さな小さな春紫苑近くを人が歩めばゆるる

  カラス鳴く声におどろきベランダにさねさし曇天けふも暮れゆく