五千歩をあるいてくればここは何処(いずく)しだれ梅紅き花着けてをり
先生の歌集をさがす本の山、本棚の奥にやうやく揃ふ
<主人メモ> 京都の青磁社から『岡野弘彦全歌集』の膨大なゲラが届く。 解題を書かねばならぬ。
五千歩をあるいてくればここは何処(いずく)しだれ梅紅き花着けてをり
先生の歌集をさがす本の山、本棚の奥にやうやく揃ふ
<主人メモ> 京都の青磁社から『岡野弘彦全歌集』の膨大なゲラが届く。 解題を書かねばならぬ。
ボンカレーのボンとは何かと問ひたれど誰も答へ得ず肉だと決めつ
小学生のオレでもこれならできさうだ鍋に三分はけつこう長い
駅前のさくらの枝に早き花枝には枝のゆゑよしあらむ
<主人メモ> 今日は、今から53年前の1968(昭和43)年2月12日、 ボンカレーが初めて発売された日だそうだ。 ボンカレーには、お世話になりました。
エリック・サティ『ジムノペティ』をながしつつ『喪神』を読む至福の時間
<主人メモ> 『喪神』は五味康祐の時代小説
冬川の水底浅きほとりには紅梅白梅花にひかりあり
垣のうちに夏みかんあまた実らせる庭を覗けば猫の目に会ふ
橋をわたりとなりの町へ鴨遊ぶ川のながれを覘き込みつつ
清響乾坤を包む一瞬をおもひみむとし想ひみがたき
<主人メモ> 綱淵謙錠『史談往く人来る人』を読みはじめるとすぐに 五十余年の夢 覚(さ)め来(きた)って一元に帰す 截箭(せつせん)弦(つる)を離るる時 清響(せいきよう)乾坤(けんこん)を包む という素敵な五言絶句に出会った。 江戸時代前期、越後高田藩のお家騒動の際、 将軍綱吉の裁断で切腹を命ぜられた小栗美作の辞世である。 綱淵は、この綱吉の断を「自分の将軍襲位に反対した越後光長と大老酒井忠清に 復讐するための政治裁判だと見ている」と複雑な政治劇を読み取り、 小栗美作の人物に賛辞を贈る。 切腹も「見事である。」「辞世もいい。」「生死の転瞬を矢の弦を離れる響きに託して」と語る。 たしかに清新すがすがしい気を感ずる作である。
一町ほど先の踏切警報の高く鳴りだせば歩を緩めゆく
<主人メモ> 今日も散歩。 歩きはじめて500歩あたりで角を右折すると、
踏切を電車すぎゆく暫しの間ふところ手して寒天に堪ふ
<主人メモ> 今日は寒いのだ。
蓮實重彦の暴言のごときが楽しくて新書一冊たちまちに読む
ちょっと「濃い」コーヒー飲めば妻と観し古き映画の接吻場面想起ふ
<主人メモ> 蓮實重彦『見るレッスン 映画史特別講義』を読む。 『スピオーネ』が理解できない人は映画を見るなとか、 きわめつけはディズニーなどなくなったほうが、 世の中にとって健全だと本当に思いますとかの暴言、断言が心地よく一気に読み了える。 「存在の色気」という語にも心惹かれ、 お薦めのデヴィット・ロウリー監督『さらば愛しきアウトロー』、 ぜひとも観たいものだ。