よい天気だが暑くなりそうだ。昨夜は暑く、寝苦しかった。ひさしぶりの例の悪夢に醒める。
夜の車の通過する音――。凶々しき鳥の音にまがふ、悪夢に覚めて
夜の寝相悪しくして腕に痺れあり、頬に皺ありのたうちまはるか
野の鳥のまづひよどりの翔りだす
突兀と高きところに夏の雲

よい天気だが暑くなりそうだ。昨夜は暑く、寝苦しかった。ひさしぶりの例の悪夢に醒める。
夜の車の通過する音――。凶々しき鳥の音にまがふ、悪夢に覚めて
夜の寝相悪しくして腕に痺れあり、頬に皺ありのたうちまはるか
野の鳥のまづひよどりの翔りだす
突兀と高きところに夏の雲
朝は雨だったが、じきに止む。
梔子の花腐らせてふる雨に眼鏡ぬらしてしばたたきをり
つつぴ、つつぴぃ鳴く声するは四十雀すがたみえねど中庭に潜む
野鳥ゐる空には雲が下りてくる
関東甲信も梅雨入りだそうだ。
梅雨入りのことしは遅き傘ひらく
曇り空、午後少し雨がふる。
梔子の淋しき花の香りあり少し遅れて樹をふりかへる
中新田の田に水分ちほとばしる大谷水門に夏のひかりあり
花ざくろ坂あるみちに毀れたり
所属せずにそろそろ十年わが立ち位置孤立における連帯もあ
今日は、また暑い。
頭に皿をのせて、変身
変身して散歩におどける河童なり畑に盗む胡瓜齧り
厚木高校の図書室の窓からは泰山木の花が下にみえた。文庫本の『伊東静雄詩集』を読んだのは、この図書室だった。「すべてのものは吾にむかひて/死ねといふ、/わが水無月のなどかくはうつくしき」(「水中花」『夏花』)
図書室にみおろす泰山木の白き花あはれこの花に育てられたり
けふ咲くか泰山木の花おもふ
今日も似たような天気だ。暑い。
砂原浩太朗『高瀬庄左衛門御留書』読了。この時代小説が思いの外よかった。悲運にみまわられながらも登場人物の心根がなんとも明るいのだ。
枯れてゆくわがいのちかも夏色のメタセコイヤの木を仰ぐなり
あたらしき夏のいのちをこの老いに少しくたまへみどりの葉叢
田の中の道にザリガニ滅びたり
またまた今日も暑い。
6日の「日曜美術館」で観たガザ地区の画家たちの絵のことをおもっている。
パレスチナ・ガザ地区の画家の絵をおもふいのちの絵いのちの色いのちのかたち
梅しごとをしながら見ていた。ガザと比べてこの国の平穏に暗然とするものの、この平和はやはり大切なのだ。
口腔に氷砂糖を泳がせてガザの戦禍に茫然たりき
今日も暑い。新型コロナウィルス接種会場へ89歳の母に付き添う。
黒日傘にマスクの女ぞろぞろと列なして歩く枇杷の木に近く
枇杷の木の下にはいくつもの実が落ちて堆くなる腐れ実あまた
これの世の汚れをよそに山ぎはを旋回する鷺を遠く目に追ふ
日傘の上に尺取虫が落ちてくる