昨夜の雨風は中庭のさつきを荒し、花や蕊が無惨に散らばっている。
さつき花みてをれば天日くらくなり木々蒼然とゆれはじめたり
向かい家の九階の窓のいつまでも明るくあればわれもねむらず
わが内なる暗黒はこよひ荒れてゐる心嚠喨と吹きとばしたき
昨夜の雨風は中庭のさつきを荒し、花や蕊が無惨に散らばっている。
さつき花みてをれば天日くらくなり木々蒼然とゆれはじめたり
向かい家の九階の窓のいつまでも明るくあればわれもねむらず
わが内なる暗黒はこよひ荒れてゐる心嚠喨と吹きとばしたき
今日も昨日と同じように雨がふったり、やんだりで南風も強く蒸し暑い。
この数年、楠原彰先生とその仲間たちとお付き合いがつづいている。國學院の夜学部の学生だったルソー研究会が中心になった集まりだ。この時代の混迷を真摯に考え、生きる人たちの末席に混ぜてもらっている。この行動する人々は信頼できる。そのグループの人々の手作り感満載の文集が今日届いた。『「経験」2021 それぞれの航跡』これが凄い。感動している。
今朝もまた起きては測る体温と血中酸素濃度、血圧まあよし
水饅頭冷やし食ぶる五月なり鬱陶しければ冷たき甘味
すっきり晴れない。大山も朝は雲が動いていたが、いつのまにかすっかり雲の中だ。
山塊の鞍部にたまる雲なびき白蛇おもむろに太るがごとき
キッチンのシンクに一つ苺の蔕だれだかくれていのちを喰ふは
三婆の一人はやはり失せたるか縁に座したる二人犬抱く
昨夜、俳優・田村正和の訃報を知った。4月3日のことだったそうだ。77歳。田村正和といえば、私は眠狂四郎である。この人の演ずる狂四郎が好きだった。たまたま『新編 眠狂四郎京洛勝負帖』を読んでいたところ。偶然か。いや……。
遠ざかる痩身眠狂四郎妻をうしなふ孤影さびしき
降りだせば雨に濡るるもよしとせむ田村正和この世にしなし
なんとなくシャンソンを聴きたき昼の雨ジュリエット・グレコを幾度も流す
ときおり雨も降るし、蒸し暑い。
くちばしが黄色いのはムクドリか。
マンションの前の空地の草やぶに椋鳥がくる雨くれば去る
あたらしき紺のリネンのシャツにゆく裾ひるがへし颯爽とゆく
今日は風が激しい。
青嵐さつきの花を吹きちらし中庭はあまたの花首落す
朝井まかて『雲上雲下』読了。これすごい。昔話の主人公満載の笑い、ペーソス、そして涙。昔話を聞きたくなる。
こらへこらへてふきだす笑ひ夢の中に「ぷほっ」と笑ふ婆が潜む
ねむりこむわれを囲みてささやくは魍魎のこゑかも片目をあける
雲上雲下善人のみにあらずして世界の終りもとつぴんぱらりのぷ
「とっぴんぱらりのぷ」は昔話の結びのことば。
「NHK日曜美術館」でひさびさに「モナ・リザ」を見た。う~ん…、モナ・リザと声にして、節をつけて呼んでみる。祈りのことば?呪いのことば?
世のはじめに女神微笑す。モナ・リザ祈りのこゑか、呪ひ…(う~む)モナ・リザ
紹介コーナーにおいて平塚美術館の「川瀬巴水展」を知る。さっそく午後妻と訪れる。障碍者手帳のおかげで無料だ。感謝。
金沢の夏の影こき塀ぎはに日傘の女を追ふ巴水の眼