雲が多いが、雨は降らなそうだ。
枇杷の木に枇杷は実をつけたわわなり腐れて落つるものありけにり
水羊羹に匙入れて少し畏まる松の太枝にむかあひつつ
雲が多いが、雨は降らなそうだ。
枇杷の木に枇杷は実をつけたわわなり腐れて落つるものありけにり
水羊羹に匙入れて少し畏まる松の太枝にむかあひつつ
植松三十里『大和維新』読了。大和(奈良)と聞くと読まずにはいられない。2018年の刊行だから、ずいぶん遅くなったが、奈良県の消滅と復活、その運動の中心だった今村勤三とその子ども世代の医師・今村荒男と陶芸家の富本健吉が出てくる。発端は天誅組である。私の高校一年のときの一人旅もまず天誅組の故地を探る旅だった。
もう一本の夏つばきの木に花ひとつ夕ぐれなれば暗くなりゆく
鵯の声する方をふりむけば沙羅の高枝の裏ぬけて飛ぶ
朝から一日中雨。夏つばきに花が咲く。
スーパームーンのあくる日は雨の一日なりそんな朝に咲く夏つばき
この木にも聖なる霊の宿りたる雨のふる日の沙羅の木の花
水曜日はトイレ掃除の日である。
朝早くあけぼの杉のてつぺんに椋鳥のこゑ恋をするこゑ
濃紫色の紫陽花の花も咲きはじめマンションの庭落ち着く頃か
今日は朝から晴天。そして暑い。
鮎の宿失せてさびしき五月かな
晴天の相模の川は色気なし
相模川中流域は河川敷も含めてなんとも色気がない。鮎を食わせる料理宿もとっくのとうになくなった。50年前には厚木東町のわが家の周囲にまだあった芸者屋もなくなって久しい。不愛想な町になってしまったものだ。
相模河原は朝のひかりのまぶしきに水際に鵜の居るそこのみ暗し
ピンク色の夕映えは久しぶりの気がする。
おだやかに暮れゆく夕べ人参に玉葱刻みカレーにするか
一日ほぼ曇り空。
葉は濡れて紫陽花の花青き色
紫陽花に水色したたる花咲けば妻はけはしき表情崩す
マンションのめぐりに白き山法師このまま山に跳び移れぬか
椿の実のふたつを拾ふまだ青く硬きいのちを双手に握る
暑くて寝苦しい夜だった。悪夢に目覚める。ビートたけしが指導するアート教室の私は生徒である。優等生だが化けの皮がはがされていく。課題作品ができないのだ。いいきになってるんじゃねえぞとすごまれる。
寝返りをいく度もうつ時に覚めまたねむりつつ安からなくに
黒闇の鎮守の森の椿の花凝つとわれを視る妖しき光
これらは半夢状態でメモした歌だ。一首目はほぼそのままだが、二首目は少し手を入れた。