2021年8月2日(月)

昨日は上野に出掛けて10000歩近く歩いたせいか、疲れがある。月曜日は紙・布ごみを出す日である。雑誌の束を抱えるだけで左手が痺れる。

  起き抜けは痴呆のごとし日日(にちにち)の倣ひすら亡失するときがある

  リビング・ルームをわがもの顔に飛び回る小蠅よここは俺の家だぜ

  わが家のゴミから生まれし小蠅ならば家族かいや否、殲滅をせ

2021年8月1日(日)

八朔である。稲の育ちは上々に見える。上野の森に妻と「聖徳太子と法隆寺」、「国宝 聖林寺十一面観音――三輪山信仰のみほとけ」を観てきた。いやぁ、暑かったが、行ってよかった。聖林寺の十一面観音に出逢ったのは大学一年のとき、まだガラスケースもなかった。間近に一人で見上げていた。圧倒されるほどの厳しさを感じた。それから何度訪れただろう。まさか東京で出会えるときがあるとは思ってもみなかった。

  照り葉木の()(むら)をこぼれ腕をやく夏のひかりの暑し、暑し

  脳髄も灼かれて大和法隆寺の諸仏に出逢ふ仏の背にも

  大国主大神木像に手を合はす神秘の像の愛らしくして

  聖林寺十一面観音像の表情の厳しさ東京を厭ひたまふか

2021年7月31日(土)

4時にはまだ降っていたが、起きだすころ雨は止んでいた。午前中豪雨の予報がありながらいい天気だった。しかし、どうも天候は不安定だ。

  けさもまた烏が鳴くに目覚めたり世界どんみり空明けてくる

  岸辺には流れ来たるかドラム缶青く塗られて幾日も経たる

  蜂すらも女体にとおもふ。心悶え白昼を行く老いこそわれなれ

池上彰・佐藤優『真説日本左翼史』読了。おもしろい。向坂逸郎、黒田寛一の扱いが興味深いし、宮本顕治と池田大作のエピソード。へえっ、そんなことがあったんだ。

2021年7月30日(金)

朝から雲行きがあやしく、雨が来る前にと買い物に出掛けたのだが、帰路には激しい雨に見舞われた。ようよう家に帰り着いたところで雷が響きはじめ、およそ1時間も続いただろうか、雨は上がった。

  あけぼの杉の下に新しき蟬の穴近傍のつつじにうつせみ潜む

  魚屋にあぶり太刀魚とみしまおこぜ(うづ)なるさしみ買ひ求めくる

  どしやぶりの雨にJR相模線イエローカーが待機してゐる

2021年7月29日(木)

一日風が強かった。つつじの枝に蟬の抜け殻発見。今年初。

小さいけれど綺麗な空蝉。蝉の穴は三つあった。今日は蟬が鳴いている。

  セルロイドの玩具(おもちゃ)のごとき空蟬をてのひらにして童の心

  空高きところより川に着水する飛行技術を誇るかこの鵜

  鵜と蒼鷺、小鷺に亀がそれぞれに流れを間に対峙してゐる

2021年7月28日(水)

台風8号は東北へ。朝から晴れている。

  背丈程伸びたる草の原分けておのが(こも)()夏の木の影

今年初のとんぼを田んぼの上に見た。シオカラトンボだ。

  蘭陵王を舞ふ蜻蛉にはあらねども海老名のとんぼ田舎のとんぼ

目の前に蘭陵王を舞ふ蜻蛉いみじく清く日の暮れて行く 与謝野晶子

  江戸切子の黒きグラスを揺らし飲む酒にはあらず梅のエキスを

2021年7月27日(火)

台風8号の影響か朝は雨が降って、雨は止んでも風は終日強かった。

  雨、風の強けれど朝から鳴くカラス ワタシはここよ、オレはここだよ

昨日の夕暮れの空の色は感動ものの全天ピンク色だった。

  夕空は全天ピンクに暮れてゆく滅ぶるならばこんな日だらう