長崎忌
八月九日、長崎の街に悪逆のひかりあり人を殺すひかり
台風9号の余波か、朝から度々豪雨。気圧の影響か眠い、怠い。
圧しくる天の力に抗へずあばらあらはに痩せ爺ねむる
夏ぶとん掛けての昼寝に腹渋るさつき氷菓を食ぶるゆゑか
懐かしき人からの電話重なりて今日はなんだかたのしき日なり
ペットボトルのお~いお茶のラベルの投稿俳句にこんな句を発見。
衣替え一人称も替えてみる 細野柚生さん(15歳)
長崎忌
八月九日、長崎の街に悪逆のひかりあり人を殺すひかり
台風9号の余波か、朝から度々豪雨。気圧の影響か眠い、怠い。
圧しくる天の力に抗へずあばらあらはに痩せ爺ねむる
夏ぶとん掛けての昼寝に腹渋るさつき氷菓を食ぶるゆゑか
懐かしき人からの電話重なりて今日はなんだかたのしき日なり
ペットボトルのお~いお茶のラベルの投稿俳句にこんな句を発見。
衣替え一人称も替えてみる 細野柚生さん(15歳)
台風10号の影響で昨夜から雨が降り、午前中風も強くなっていたが、午後3時過ぎには晴れる。
台風の進路変はれば雨の量予測より減るそれでもどしやぶり
内廊下の床には蟬の死ににけり台風の雨を避けて入りしか
今日もまだ腕は痛いと妻はいふ肺腑をえぐる痛さにあらねど
娘のアパートに梅ジュースを届ける。
梅ジュースは免疫力の素なりと娘が言へば腹こそばゆき
畑中章宏『廃仏毀釈―寺院・仏像破壊の真実』読了。廃仏毀釈は、後の神社合祀とともに近代日本の国家体制の横暴であったが、地方により差異があり、損害の違いもあった。より細かく検討する必要があるということだろう。私が育った隣町も今では神社になっているが、おてんのうさんと呼ばれ、牛頭天王を祀る社であった。
明治維新の汚点の一つと思ふなり六地蔵の首いまも戻らず
その神のすがた知らねど素戔鳴尊より牛頭天王がよし不可思議の神
妻一回目のウィルス予防注射。
無花果の実らぬ木下妻も老い
広島忌
八月六日蛇口の水はぬるくして原爆の日も朝歯を磨く
水を乞ひ死にゆくものをおもひをり
炎天に立てよけふこそ太陽のひかりにおもへ滅びのときを
滅亡の都市を市電の走りゆく
藤沢周『世阿弥最後の花』読了。佐渡に流された世阿弥晩年の姿を描いて、おもしろく読んだ。能の詞章や和歌を交えた彫琢された文体がいい。世阿弥同様、佐渡に流された順徳院像も印象的だ。世阿弥は順徳院の追悼の能を舞う。順徳院の歌を読んでみたい。
ひよどりの三羽が中庭をかけぬけるいつものやうに朝がはじまる
朝顔の咲く家のまへをとほるとき老いのこころのかろやかならず
佐渡に渡る世阿弥元清 晩年の翁のすがたおもひみがたし
神奈川県の新型コロナウィルス感染者、1500人を越す。
今日も暑い。油蟬が朝からうるさい。
九階のベランダに鳴く油蟬日の沈むときひときは高く
中庭のあけぼの杉に生まれたる蟬とおもへば親しきものを
樹の幹と空中に過す十日ほど腹部鳴動ひたすらなりき
土の内に七年を過ごす幼虫に蜜のごとき時間あらばよきかな
息子の31回目の誕生日です。今日も猛暑。
朝焼けは薄桃色から橙色に雲を染めけさは至極の時間
南より吹き入る風の湿り気を帯びたる風は人を弱らす
長男は、夏の須坂で生まれたのだが、あの日も暑い日だった。
素足にて歩けば床の絨毯の湿り感ずる子の誕生日
あの日から三十一年あれこれとありしが楽しき日々も重ね来