2021年8月16日(月)

妻の母の49日の法要のために須坂へ。息子、娘を乗せて家族四人の車旅。なかなかに楽しかった。
談合坂SA

  雨の日のつばめの胸毛むくりむくり白く愛らし幼きつばめ

連休寺

  足弱の老人三人(みたり)の嘆き節庭の老松に笑はれてゐる

  勝善寺墓地には土鳩の群れがゐる近寄れば飛び人されば戻る

  けたたましき音たてて鳩の群れが翔つ盆の送り日人多く来る

この日は蕨温泉に家族四人で泊る。

2021年8月15日(日)

敗戦の日

一日雨。

  無謀なる戦争の果てを生き延びて母は在る八十九歳小さな(ばばあ)

三閣僚が靖国参拝。

  この日こそ少しはものを考へよ靖國神社も豪雨にけぶる

海老名も豪雨。

  激しき雨がたびたび通過する敗戦の日は(かうべ)を垂れる

  梅雨末期の如き豪雨の日々つづく天上大風雨師ふきげんなり

  電柱に烏鳴き秋虫の声するにまだ雨止まず夜に入りゆく

2021年8月14日(土)

朝から雨だが、おかげで少し涼しい。九州や瀬戸内では豪雨災害が出ている。

  薄墨色の雲忙しげに動く空あかるき雲がときをり覗く

  雨をふらす雲のかなたに青き色わづかなれども希望の如し

  少しでも雨止むときがあれば鳴くアブラゼミいのちの雄叫びを上ぐ

2021年8月13日(金)

朝から雨、時に止んだり、また降りだしたり。

  朝明けは雨の音にて湿りあり東アジアの小国に起居す

  亜熱帯化したるか雨の多くして南の蟬も混在してゐる

突然、昔、私が小学生だったころ家族旅行で行った行川アイランドのフラミンゴショーを思いだす。奇妙な光景だった。

  フラミンゴ勢ぞろひして踊りだす夏の休みの房総半島

2021年8月12日(木)

日航ジャンボ機が御巣鷹山の尾根に墜落、あの日より36年が経つ。結婚の許しを得て信越線で長野からの帰りであった。中上健次の忌日でもある。

霊園に墓掃除に行ってきた。

  三十三年たてばそれなりに古びたるこの墓に俺の名も刻まるる

  向かひ山の木の葉幾本も枯れてゐるなんの兆しか人の世滅ぶ

中上健次の小説が好きだった。

  小さき文字に新宮の路地の物語書きて死にする中上健次

2021年8月11日(水)

今日も暑い。34℃。散歩もつらいが、海老名田圃を歩く。暑い。

  稲の葉のささやき、水の流れの音、蟬のこゑする田の畦にをり

  熊蟬の鳴く声けふは聴こえざるあけぼの杉もさびしげにして

  いささかも秋を感ずることもなく暦は秋と挨拶に書く

2021年8月10日(火)

昨夜は西からの風が強く、エアコンの逆流音に悩まされた。ポコ、ポコ……際限がない。夜中、これでは眠れないと、ドレーンの尖端を水を入れた壜に突っ込んだ。とりあえず音は止む。

  エアコンの逆流音になやまされいく(たび)も覚むここは地獄か

  熊蟬もあけぼの杉に鳴きはじむ油蟬はをれど熊蟬見えず

  早速に逆流防止弁を注文する地獄の釜から解放されたし