2021年9月20日(月)

26年前のこの日の未明、畏友鈴木正博が亡くなった。委細は12日の日録に書いたとおりだ。結婚式まであと一月だった。婚約者だった今泉重子さんも半年後の3月20日に自裁。

  暗夜のトイレの明りに照らされて(たふ)れし君の未練を思ふ

午前8時過ぎの爽やかな時間に三川公園まで往復、散歩をしてきた。

  相模川上空を飛ぶ鵜と白鷺風あれば大きく羽搏きてゆく

  濃みどりの葉々の上とぶ小灰(しじみ)(てふ)うすむらさきの小さき精霊

  精霊たちが声をひそめて会話する風音ささやく森にまぎれて

2021年9月19日(日)

台風一過のような爽やかな朝だった。昼くらいから夏のような青天がひろがる。妻の運転でトマト農園、地元のJAの野菜市場、生協などをめぐる。

  わが手なれど夜の孤独に組み合はす指組めばあるわづかの安心

  雲間より青空覗く(あした)なりほがらほがらにカラス声上ぐ

  市場には殺気立ちたる空気ありじやが芋、玉葱急ぎ手に取る

午後4時過ぎに彼岸の掃苔。墓山は暮れる前のまぶしい西日とすでに翳りはじめた山陰の暗さの対照が印象的であった。

  山陰はすでに冷気を帯びたるに西日まぼしき山の午後四時

  遠からずこの墓に入る老母の墓石を拭くその手小さし

2021年9月18日(土)

台風14号の影響で雨の一日。昨日はステージ4の悪性リンパ腫が発見されてから16年目であった。どうやら9月17日は鬼門の日であるようだ。

  十六年目の九月十七日ことしもまた病院へ行くエコーの検査

  台風十四号の余波ならむ豪雨予報ありすでに雨降る

この歌日録をはじめる頃から、小さな画帖に鉛筆画を書いて楽しんでいた。日々、日録の下にある絵がそれだが、最近は色鉛筆がになっていることにお気づきだろうか。下手くそなものですが、お楽しみいただければ幸いです。 なす、トマトを色鉛筆にゑがきたり野菜のいのちを写さむとして

2021年9月17日(金)

朝から曇り。えびな脳神経外科に首筋のエコーと診察に。結果、経過観察。次回は一年後。しかし梗塞を起こしそうな血管だそうだ。

  温かき煎茶を淹れて大ぶりの茶碗にいただく朝のさきはひ

  コロナ禍に滅ぶるいのち非業なる最期なるべしたましひ怒れ

  曼殊沙華花咲く道を病院へとぼとぼ歩むにここは異界か

2021年9月16日(木)

爽やかな朝だった。やがて25℃、夏の雲。だんだん雲が増える。

  蛇口より下垂(しただ)る水のいつしかに冷たく感ず秋が来てゐる

  目玉焼きにミニトマト添へ朝食はフランスパンを(ぢぢい)よろこぶ

  四十雀鳴きつづけをり秋の昼

2021年9月15日(水)

朝から雨が上がり、青空が覗く。昨夜というか午前1時ころ目醒めてカーテンの隙間から窓の外を覗く。

  雨に濡れ車の尾燈の赤き色疾走してゆく闇を目に追ふ

案山子祭り

  田の中に()りてへうげて案山子どの稲の葉いまだ青きが残る

  桃の実やけふは熟れたる神棚に