2021年10月5日(火)

昨日のことだが、沼津港からの鈍足バスに乗り合わせた女性が、御殿場線でも一緒だった。長泉なめりで降りていったが、なかなかの美形と観た。

  たまさかに富嶽の巫女が降下するタブレットを手に吉凶案ず

  駿河のをみな秋の女をおもふとき穂すすきしろがね色のかがやき

2021年10月4日(月)

三島大社を拝し、三島の町の水の流れを辿って歩く。鴨が何羽も水流に遊んでいる。昼前に東海道線で沼津に。沼津港に遊び、御殿場線で富士山の裾野をめぐり松田に出て、小田急線で帰る。秋の富士山、巨大な山塊である。

ホテルの屋上の露天湯。

  屋上や露天にさらすわがふぐり

  大岡信の詩のあかるさに通ずるか三島の町の水湧くところ

伊豆の国三島水の町である。

  面白き水湧く町や妻とゆく

  裾野より立ち上がり大き不二の山雲をまとふていまだ夏嶽

  御殿場線の窓に来てゐる秋あかね駿河小山の駅に停車す

2021年10月3日(日)

朝8時、小田急線厚木駅を出発、本厚木で急行に乗り換え、小田原へ。小田原からは東海道線普通列車で熱海を経て三島へ。クレマチスの丘とかへ。ベルナール・ビュフェ美術館、ヴァンジ彫刻庭園美術館、クレマチスガーデン等を半日堪能。三島駅前のホテルに一泊。すべて妻の旅の計画に拠る。

  陽のひかり透けたるもあり濃きもある楠の古木を真下に仰ぐ

  楠の葉の色枯れて一葉、またひと葉散り落ちてゆく愛鷹山麓

  廻るやうに伸びたる枝が交差する太幹ま直ぐなりこの複雑怪木

2021年10月2日(土)

昨日一日雨を降らし、風を荒した台風は北へ。朝から爽やかだが、昼過ぎには28℃を越え暑い。

  昨夜(ゆふべ)過ぎゆく野分(のわき)が残す雨滴ありあけぼの杉の葉むら下垂(しただ)

  灰色の大小の蝶輪舞する河辺はそろそろ草枯れはじむ

(  ほうたるを今年は見ずに秋や来る

2021年10月1日(金)

台風16号の影響で朝から雨。北東からの風も強い。致し方なく家ごもり状態である。今日もユーチューブで藤圭子三昧。

  藤圭子は笑顔が似合ふこよひまたグレーの絨毯にワインをこぼす

  自在なるこゑのふるへに声の伸びこぶしふるはせ心うるほす

色エンピツ絵。

  往古(いにしへ)のエジプトの男の貌を画くどこか自分に似てゐるやうな

2021年9月30日(木)

海老名図書館へ行くが目当ての辞書がない。稲刈りが終っている田がある。

  水や風のごとくに人生流れゆき老いたれば地獄の底が現る

ユーチューブで藤圭子を聴く。

  藤圭子のこゑのうるほひそのこぶしこころふるはす涙こぼるる

  命火はいまだも消えぬさくら木にもみぢ葉赤きけふ九月尽

2021年9月29日(水)

日陰は涼しいが、日差しは暑い。半袖シャツに相模大野へ。メガネの調整をしてもらった。

  小田急線線路に沿うてすすき原しろがね色の揺らぎまぶしき

  すすき穂に昼の日差しの酷なれば碧空へ発つさすらひ坊主

色エンピツに画をかく。

  古代ペルーの神の横貌の青き色祈りのすがたを画帖に写す