午後2時半、16℃。朝から涼しいを通り越して寒い。
返り花のつつじの赤き色増えてゴミ捨て場前そこのみ異界
ぷよぷよのヤモリの子どもを放逐せるわれは死神か後悔がある
さねさし相模の秋の空模様曇ればとんびにカラスが挑む
午後2時半、16℃。朝から涼しいを通り越して寒い。
返り花のつつじの赤き色増えてゴミ捨て場前そこのみ異界
ぷよぷよのヤモリの子どもを放逐せるわれは死神か後悔がある
さねさし相模の秋の空模様曇ればとんびにカラスが挑む
草のあいだに放った小さな守宮のことが、今朝の寒さのせいか、妙に気にかかる。
野に放つ小さなやもりたくましく生き延びて復たわが家に来よ
守宮にも親があるべしその親こそマンション九階に登り来しなり
月のぼる直下の雲も夕映えて桃色に照りかがやく時あり
昨夜リビングルームのベランダ近くの絨毯の上に小さな5㎝ほどの守宮を発見。マンションの9階である。驚いたのだが、その透けるような姿、吸盤を持つ四本の指、水を飲む動きの愛らしさ。あまり時を置かず草地に放ってしまったが、無事に生きていけるのであろうか。
寂しさの耐へがたきときにわが部屋に見出でたる守宮小さき生命
守宮の吸盤を持つ四本の指の動きのはかなげなりき
上野の東京国立博物館へ「最澄と天台宗のすべて」を妻と観にゆく。上野で息子と合流。昼飯を韻松亭にて共にする。
最澄の彫りしとふ薬師如来像その表情のおだやかならむ
躙り口より入りし小部屋に酒少し錫の盃に口寄せてゆく
往にし世におもひを寄せて飲む酒のけふは少しくあまやかにして
雨中には野鳥のこゑの聴こえ来ず排水管の水音許り
つつじの帰り花咲く曲がり角四、五片の花過ぎ来て驚く
部屋の中にいる分には気持ちのよい日である。外は日差しもまぶしいし、風もそこそこ強い。
ひよどりのこゑに応ずる鳥もありひむがしの空やうやうに明く
母親が子を抱くときにこぼれだす赤子の素足五指のうごきよ
宙天にうかぶ嬰児 人類の希望をつなぐ奇跡の子なり
昨夜は雨だった。
雨の降る夜の県道は赤・黄・みどりLEDのひかりに潤む
今日は晴れてやや暑い。悪夢を見たようだが忘れよう。
防波ブロックのてつぺんにゐて甲羅干す亀がおもむろに沈みゆきけり
親亀に順ふか隣のブロックの小さな亀も川に落ち入る
朝からしょぼしょぼと雨だが、時折上がる。
いとほしげに生ゴミを抱く男ゐる家族を愛しその塵芥を愛す
立川談志の老いの苦しみを映したるドキュメンタリー観つつ苦しき