2021年 1月15日(金)
冬枯れの田を行くときにすずめ声すがた見えねど遠近(をちこち)に鳴く <主人メモ> 海老名高校の裏の冬田を歩く。 今日のわれは素のわれなるか木瓜(ぼけ)の花咲くをよろこぶ老人である 菱田春草の木の幹にゐる黒猫よ寒き夜...
冬枯れの田を行くときにすずめ声すがた見えねど遠近(をちこち)に鳴く <主人メモ> 海老名高校の裏の冬田を歩く。 今日のわれは素のわれなるか木瓜(ぼけ)の花咲くをよろこぶ老人である 菱田春草の木の幹にゐる黒猫よ寒き夜...
健康診断受診のために朝早く小田急線はたのしき響き <主人メモ> 健康診断を受けるため各駅停車に一駅乗車。 電車に乗るのは久しぶりだ。
橋梁の端を歩めば川淀にわが影映る少し前(さき)ゆく 鵄の鳴くこゑに暫時(しばし)を空仰ぐ雲無き青天を三羽が旋(め)回(ぐ)る 橋梁に覗けばいつもの鯉がゐる浅瀬を遡(のぼ)り泥巻き遊(すさ)ぶ 橋梁を渡りて帰る河原にはわが...
悶々と眠れぬ夜は淫(みだ)ら夢に誘(いざな)はれたし寝返りをうつ 夜の底に赤き椿の落下する寂しき花の音聴こえぬか 藤圭子の昭和の夜を歌ふこゑいのちを絞るこゑ胸に沁む
ハツ子さんよそろそろため口で話さうやよそゆきことばは疲れるだらう これまでの人生に悔いがいくつかある然(さ)れど生きてゐるそれだけでよし 満作の花咲くところ風寒く卒塔婆が響(な)る安養寺墓地 <主人メモ> 心臓ペー...
在りし日のお伝のすがたに似もつかぬ髑髏を抱きて嗚咽しやまず 浅右衛門吉(よし)亮(ふさ)の首切りの失敗を心に泣くかつぶさに誌す 北側のベランダのバケツに冬深しことしはじめての薄氷を割る <主人メモ> 今日も全...
あらたまの朝日かがやく地平線しづかなりけり鳥鳴かざれば 下肢の筋肉(にく)衰へたるか足踏むに頼りなければ木の傍(そば)に拠る 震災碑に「横死之靈」の文字ありき「横死」ひさびさに聴きし語なりき <主人メモ> 浄土宗龍...