2024年10月27日(日)
珍しく晴れた。やがて曇ってくるらしいが。 点滴棒を立てて看護師したがへて水戸黄門か髭をなでつつ 病廊を歩く稽古の始まりぬ行って反ってまた行きて来る 今朝もなかなか微熱が去らぬ病室のベッドに暮す一日なりけり 『...
珍しく晴れた。やがて曇ってくるらしいが。 点滴棒を立てて看護師したがへて水戸黄門か髭をなでつつ 病廊を歩く稽古の始まりぬ行って反ってまた行きて来る 今朝もなかなか微熱が去らぬ病室のベッドに暮す一日なりけり 『...
曇りだ。 秋の日の夕焼空をいろどれる白、灰、桃色、橙もある 天井には大裁判官が袖ひろげ何かのたまふ偉さうにして いつまでものらりくらりと良くならず微熱のありて足はふらつく 『論語』顔淵一七 季康子、政を孔子に...
朝、しとしと雨。その後曇天。 病中食なればか塩分すくなくてコロナの残余か味覚常ならず かぼちゃの煮物が発する黄金のひかりありわが視覚甚振る 粥すくふ箸にとまどふ口中を粒つぶれ匂ふ魚沼界隈 『論語』顔淵一六 孔...
朝から晴れていい天気だ。ただ少し暑い。 マスクかけて妖しき風体のわれならむ余儀なくトイレの前に倒れき 手品師の集団のやうに倒れたるものを囲みて守らむとする この日より点滴棒と看護師に付き添はれゆく夜のトイレに...
朝は涼しい。昼もまあまあ。 これの世はかくもいつもの俗つぽさ自民党総裁選など行はれしか 熱下がらず悶々とベッドの上に棲むこここそがわれの病牀六尺 正岡子規の歌に心を直くして季節を越えて生きてゐたし 『論語』顔...
涼しい。秋らしい日だ。 掛けてゐたメガネを無くし高熱に魘されたるかわれわれにはあらず やうやつとメガネ取り返すわれならむオムツに尿をもらす老い耄れ 隠形にならひてひそむベッドの下いづれは外の明るき世界へ 『論...
秋の良い日である。 発つ時に百済観音すくと立つ娘のすがたおぼろけならむ わがね眠る傍に添ひ椅子に座す妻端然たりすぐまた意識なし いつのまにかオムツに換へられ点滴に繋がれてまた病人ならむ 歯ブラシをコップに...