2021年6月18日(金)

野口富士男「なぎの葉考」、何年ぶりだろうか、やっぱりいいなあ。魔性の娼婦の回想のなんともエロチックなこと。浮島の森の不思議。熊野を案内する中上健次の風姿が印象的な短編だが、読み終わるくらいになると涙がが出そうだ。

この小説を読んだからだろうか、夏椿の樹皮が何だか妙に艶っぽい。

  木の幹にまだら模様のある沙羅のその樹皮に触る熱もつごとき

  黄土色の艶ある樹皮に触れてゆく女体のごとき沙羅の木を恋ふ

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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