書評を依頼されて『蛙声抄』を読んだ。安田純生氏の第一歌集だ。35年前の刊行であるが、なんともすばらしい歌集であった。こんな歌がある。
・貪婪に愛を欲るらむ木蓮は白き生殖器あまたかかげて
・極楽にあらば死なれじいささかの自由を留保し桃の核舐む
このエロス。さらにこんな歌もあった。
・いんぎんに蔑されぬるを雪隠に流人のごとく三日月見やる
雪隠に三日月を観る歌を読むわが家のトイレは密閉空間
月を観て脱糞するを想像す唸りてあげくに長きため息
安田純生の三十代の歌集読むそこはかとなきエロス、ペーソス
