少しづつ暖かくなっているようだが、朝は寒い。
加藤郁乎『俳人荷風』読了。いいねえ、加藤郁乎は、もともと俳人だが、詩やエッセイも巧い。俳人荷風を書いても巧いのだ。書中にあげられた句をいくつか記しておこう。
知らぬ間にまた一匹や冬の蠅
持てあます西瓜ひとつやひとり者
極楽へ行人おくる花野かな
折からにさびしき風や後の月
泣きあかす夜は来にけり秋の雨
秋風のことしは母を奪ひけり
かたいものこれから書きます年の暮れ
わが庵は古本紙屑虫の声
部屋の戸を這ひずり出づる老婆なりくちなはの如し鎌首上げて
救急車に押し込められて体格のよき消防士に運ばれて行く
救急病院は近くなれども道路の上がたぼこがたぼこ撥ねあがりたり
『論語』衞靈公三三 孔子曰く、「知はこれに及べども仁これを守ること能はざれば、これを得ると雖ども必ずこれを失ふ。知はこれに及び仁能くこれを守れども、荘以て
これに涖まざれば、則ち民は敬せず。知はこれに及び仁能くこれを守り、荘以てこれに涖めども、これを動かすに礼を以てせざれば、未だ善ならざるなり。」
人民を治めることの難しさを言っている。そうだろうなあ。
知を得ても仁よく守るも荘以ちて、さらに礼を以て動かさざれば善ならず
『古事記歌謡』蓮田善明訳 七〇 ハヤブサワケノ王
天皇は、この歌が耳に入り、直ちに軍兵をそろえて、殺そうとしたので、ハヤブサワケノ王とメドリノ王は、手を携えて逃げ出し、倉椅山に登った。その時、ハヤブサワケノ王が歌った。
椅立ての 倉椅山を 嶮し岩立つ倉椅の
嶮しみと 岩搔き かねて 山の岩根を登り得ず
わが手取らすも われが手を取るいたわしさ
嶮しく岩立つ倉椅山わが手取らすも二人のぼれず