2024年11月13日(水)

快晴。朝は雲一つなし。

入院時の歌

  大道寺将司の獄中に作りし句情けあり怒りあり喜びもある

  佐渡島に遠島申しつけらるる晩年の世阿弥に終の能の花咲く

  落ち込む地獄の闇は深くしてくちなはがとぐろを巻きて襲ひ来

『論語』子路八 孔子は、衛の公子荊を謂はく、善く室を居く。始め有るに曰はく、苟か合ふ。少しく有るに曰く、苟か完し。富に有るに曰く、苟か美し。」

  孔子曰ふ衛の公子荊は着財のうまくていつもひかへめでよし

『春秋の花』 川端康成
・二十を過ぎた彼は、誰にも始終寂しい後姿を見せているかのやうな印象を与へた。

冷たい秋の稲妻のやうな美しさの思ひ出を残した。呼び止めたくて呼び止められないものであった。『落葉』(1932)の一節。観照的デカダンスの極地に位置するような制作。この初期短編に凝縮している。

『落葉』発表の三十余年後、マルクスの「五感の形成は今日までの全世界史の労作せある。」という言葉を援用しながら『眠れる美女』を論じた。川端の文学総体には「呼び止めたくて呼び止められない」「冷たい秋の稲妻のやうな美しさ」はある。
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・みどりすべてみどりのままに去年今年

  冷たくて呼び止めたくても呼び止められぬ秋の稲妻のやうな美がある

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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