2024年10月30日(水)

朝、雨。晴れてくるらしいけれど。晴れてきた。久しぶりの太陽だ。

  雲古でてため息ついてこれの世にああ生きてゐるたのしきろかも

  さねさしの野は観るかぎりロジテックス・物流倉庫ばかり色気もなくて

  コーヒーのカップ片手に九階の窓に見わたすさねさしの野を

  卓上に湯気たちのぼる珈琲の香りただよふ朝目覚めたり

『論語』顔淵二一 樊遅従ひて舞雩の下(雨乞いに舞う台地)に遊ぶ。曰く、「敢て徳を崇くし慝を脩め惑ひを弁ぜんことを問ふ(徳を高め邪悪をのぞき迷いをはっきりさせること)。」孔子曰く、「善きかな、問ふこと。事を先にして得ることを後にするは、徳くするに非ずや。其の悪を攻めて人の悪を攻むること無きは、慝を脩むるに非ずや。一朝の忿りに其の身を忘れて以て其の親に及ぼすは、惑ひに非ずや。」

  舞雩(ぶう)のもとに樊遅(はんち)もの問ひ孔子応ふその問ひこそが徳に非ずや

『春秋の花』 江馬細香
(アイ)(ヤウ)(セイ)(テイ)ノ質/人無キモ亦(カウバ)シ/知ラズ空谷ノ裏/我ガ(カン)(ケイ)ト孰レゾ

『湘夢遺稿』(1871)所収五絶『養蘭』。巻末には後藤松陰の『細香女子墓誌名』が収録せられていて、その中には「女子、(中略)而シテ又、慨然トシテ憂国ノ気アリ、髭眉ノ丈夫ヲシテ愧色有ラシム。」の文言が存する。『北九州炭坑節』的「俗情」にたいする真正フェミニストの毅然たる一撃ならんか。
・人ハ静カナル寒閨、月ハ廊ヲ転ル/書課ヲ了来レバ漏声長シ/炉ヲ撥キ喜ンデ見ル紅ナホ在ルヲ/又残燈ヲ剔テテ読ムコト幾行ゾ 「冬夜」

  慨然として憂国の気ある江馬細香扱ひ難きところあるべし

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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