2024年10月21日(月)

秋の良い日である。

  発つ時に百済観音すくと立つ娘のすがたおぼろけならむ

  わがね眠る傍に添ひ椅子に座す妻端然たりすぐまた意識なし

  いつのまにかオムツに換へられ点滴に繋がれてまた病人ならむ

  歯ブラシをコップに入れてベッドの上身動きならず含嗽してゐる

『論語』顔淵一二 孔子が言った。片言以て(うつた)へを(さだ)むべき者は、其れ(ゆう)なるか。子路(由)、諾を宿(とど)むること無し。

  孔子の弟子の中でも子路は優れたり片言をもち訴へを定む

『春秋の花』山本常朝

「一生忍びて思ひ死することこそ、恋の本意なれ。」『葉隠』(1716?)
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「なんじ施しをするとき右の手の成すことを左の手に知らする勿れ。」『マタイ伝』
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岡本かの子『金魚繚乱』(1937)

「文庫より書物を出だし給ふ。明候へば丁字の香いたし候也。」

  丁字の香。強き香りを匂はせてここは往にし世いつか変ぜし

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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