朝から細かい雨が降っていて歩きに行けない。
冬の眠りに安穏の日を過ごしたし天皇制の在ることを憎む
一木一草森羅万象にひそみたる天皇を忌むはわれなり
天皇制がつくる貧富・正邪を許せざる長き世経ればわれも老いたり
『論語』顔淵七 子貢、政を問ふ。孔子が言ふ、「食を足し兵を足し、民をしてこれを信ぜしむ。」子貢曰く、「必ずや已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何れをか先にせん。」孔子が言ふ、「兵を去らん。」子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何れをか先にせん。」孔子が言ふ、「食を去らん。古へより皆な死あり、民は信なくんば立たず。」
政にたいせつな物は民の信、軍備にもあらず食糧にもあらず
『春秋の花』 横光利一
・蟻台上に餓ゑて月高し 『書方草子』1931所収「詩十篇」の一つ。私は、「月」を「寒月」ないし「冬の月」と感得する。横光死後、掲出詩を横光の文学的生涯を象徴するように思われて、ある同情的・哀傷的な感慨に捕らえられる。
・ひまらや杉萎えゆらぎつつしんと暑し鏡面をのぼる黒き蟻一つ
坪野哲久『桜』1940も、私の好きな歌であるが、こちらは、紛いもなく真夏の情景を表現している。
・兵士なほ帰り来らず菊となる 横光利一
懸命に蟻は幹の上をのぼりゆくその懸命は蔑しがたしも