朝方は涼しかったが、もう暑い。
松下竜一『狼煙を見よ』を読んだ。権力側から見た『狼の牙を折れ』に、いささか反意を覚えたので、この書物に強い同意を感じたのである。1974年の連続企業爆破事件をめぐる、とりわけ大道寺の家族に中心があり、ただ爆破の強烈さのみを責めるのでなく、その反植民地主義、反天皇制、反日本帝国に至る思想の苛烈さなどを問うて、時に私的なものも出て、これらの事件を振り返るには適書であり、私もあれこれ教わった。
軽やかにティシュペーパーのとび交へる部屋内にたぬし踊れるごとく
ティシュペーパーの二、三枚跳びてわが息塞ぐいきほひ
ティシュペーパーを三枚つかみ老いわれの鼻水を拭くなさけなきもの
『論語』先進二二 子路問ふ。「聞くままに斯れ行なはんや。」孔子が言う。「父兄の在すこと有り。これを如何ぞ、其れ聞くままに斯れを行なはんや。」
冉有問ふ。「聞くままに斯れ行なはんや。」孔子が答えた。「聞くままに斯れを行なへ。」
公西華曰く。「由(子路)問ふに、聞くままに斯れ行なはんやと。すると孔子が言った。父兄の在すこと有と。求(冉有)問ふ、聞くままに斯れ行はんやと。すると孔子が、聞くままに斯れを行なへと。赤(公西華)や惑ふ。そこで敢て問ふ。そうすると孔子が言った。「求(冉有)は退く、故にこれを進む。由(子路)や人を兼ぬ。故にこれを退く。」
教育者孔子のふるまひ子路と冉有同じ問ひすれど一様にあらず
『春秋の花』 中村憲吉
・梅雨雲にかすかなる明りをたもちたり雷ひくくなりて夏に近づく
『しがらみ』(1924)所収。
「梅雨あけ」八首(1921)の中の一首。前年1920年の連作「梅雨ぐもり」五首中には、
・梅雨ぐもりふかく続けり山かひに昨日も今日もひとつ河音
↓
・ひとしきりもりあがりくる雷雲のこのしづけさを肯はむとす
明石海人『白描』1939
・遠雷は底ごもりつつ 若者の耳吹きすぎて城を打つ風
佐佐木幸綱『群黎』1970
低き雲にときをり光るものありて雷鳴ひびかす夏は来にけり