朝から雨ではないが、重い曇り空。やがて雨らしい。その後曇り。
朝曇りの空にうかび来大山の稜線くきやかにして夏の山なり
ベランダに見晴るかす空飛ぶ鶺鴒上って下る軌跡を描く
三川は今日も泥色。水暈はすこし衰ふ、されど激しき
『論語』先進一七 季氏、周公より富めり。而して求(冉求・季氏の家宰)やこれが為に聚斂してこれを附益す。孔子が言う。「吾が徒に非ざるなり。少子(君たち)、鼓を鳴らしてこれを攻めて可なり。」
冉求はわが徒に非ず鼓を鳴らしこれ攻むるべきなり
『春秋の花』夏の部 橋本多佳子
・万緑やわが額にある鉄格子 『海彦』(1957)所収。
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・足袋をつぐノラともならず教師妻 杉田久女
・谺して山時鳥ほしいまま 同
杉田久女は、橋本多佳子の先達であった。1954年5月、多佳子は久女終焉の地(九州大宰府の九大分院)訪れており、その際の句。「わが額にあるいばらの冠」、「芸術家の悲惨および栄光」ではないか。
・春潮に指をぬらして人弔ふ 『信濃』(1947)所収。久女哀悼作。
・一ところくらきをくぐる踊の輪 多佳子
万緑のさがみ大山遠く見て泥色の川をわれ渡りゆく