「ああ、きょうも、暑うなるぞ」(小津安二郎『東京物語』)
あひる型のボートを漕ぎて湖心へとなにかが潜むこの水の内
時々に古代生物浮かびくる湖面に息するごとき水の輪
白樺の林を映し動かざる女神湖の朝みどり濃くして
『論語』郷黨一一 人を他邦に問へば、再拝してこれを送る。(他国の友人をたずねさせるときは、その使者を再拝してから送り出す。)
友人への敬意。拝は、両手を組んでそこまで頭を下げる敬礼。
他邦に人を訪ねさせるとき再拝しこれを送るなり孔子の礼は
『正徹物語』211 隆祐(藤原隆祐)の歌は、若い頃は、父の家隆にも劣らず期待が持てるように思われたが、長じて後、ひどく劣化したと定家が言ったと聞いて、「それなら後年の歌は仕方ないにしても、若い時の歌を勅撰に入れてくれないのか」と隆祐は恨んだという。家隆の歌に、どこか不吉な寂しさがあるといって懼れたが、案の定、家隆・隆祐・隆博と、わずかに孫の代までで絶えてしまったのは不思議である。
家隆の歌には亡失の体あるを定家おそるる孫にて滅びむ
『百首でよむ「源氏物語」』第三十七帖 横笛
出家した女三の宮のもとへ朱雀院は筍や野老(とろろ)を贈った。
・世をわかれ入りなむ道はおくるとも同じところを君もたづねよ 朱雀院
・うき世にはあらぬところのゆかしくて背く山路に思ひこそ入れ 女三の宮
女二の宮のもとを訪れた夕霧。
・ことに出でて言はぬも言ふにまさるとは人に恥ぢたるけしきをぞ見る 夕霧
・深き夜のあはればかりは聞き分けどこと寄り顔にえやは弾きける 女二の宮
夕霧の夢に柏木が現れた。
・笛竹に吹きよる風のことならば末の世ながき音に伝へなむ 柏木
未練がましい柏木笛の音に寄りて姿あらはす夕霧の夢に