2024年7月14日(日)

重い雲が空を覆っている。朝は涼しかったが、やがて湿度が高くなる。

山本兼一『狂い咲き正宗』を読む。山本は二〇一四年に享年五十七で亡くなっている。

刀剣商ちょうじ屋光三郎の、御腰物奉行・黒沢勝義の嫡男だが、勘当され町のちょうじ屋の婿になった。その光三郎が主人公の刀剣物語だ。楽しい読書である

  刀剣を扱ふ商売わが夢のひとつとおもふ小説読みつつ

  水出し珈琲のこの芳香を嗅ぎやればここはコーヒー国熱帯の里

  時をかけて水出しコーヒーを抽出する香りよきかな黒ろぐろとして

『論語』子罕二六 孔子の言。「大軍でも、その総大将を奪い取ることはできるが、一人の男でも、その志を奪い取ることはできない。」

  三軍の帥は奪取出できても匹夫の志奪ふべからず

『正徹物語』192 一首懐紙は、「詠」の字の下に題を書く。「詠松有春色和歌」は、次のように書く。歌を三行三字に書く。奥をひろく余したもみにくい。一ぱいに書きあわせんとしたのもわるい。「詠」という字より前の空いたくらいに、歌の後の余白を書き残してあるのがよい。歌の行間があまり広いのもよくない。かといって三首歌を書く時のような行の幅でもだめだ。ちょっと広く空けて書くのがよい。俗人は、「春日同詠―和歌」と書き、全て一行に収める。出家者はただ「詠―和歌」とだけ書く。さらに「詠」の字の下に「夏日」「秋日」「冬日」などと書くのを、端作という。

  懐紙にも在家、出家で書き方に違ひあるべしやかましきかな

『百首でよむ「源氏物語」』第十八帖 松風

明石の御方と光源氏
・契りにし変はらぬことの調べにて絶えぬ心のほどは知りきや 光源氏
・変はらじと契りしことをたのみにて松の響きに音を添へしかな 明石の御方

冷泉帝から桂の邸の光源氏へ、またその返し
・月のすむ川のをちなる里なれば桂のかげはのどけかるらむ 冷泉帝
・ひさかたの光に近き名のみしてあさゆふ霜も晴れぬ山里 光源氏

  ひさかたの帝来ざれば月影もうすれとどかぬさびしくあらむ

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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