朝から雲が空を覆っている。昼頃、雨になり、じきに止むらしいが、後も曇り。鬱陶しい。
すずめ二羽つがひの鳥か新緑の木から木へ移る後先ありて
すずめ鳴く、鳴きかはす声愛らしく木々の緑を移れるならむ
たちまちに電線に飛ぶすずめごの跡追ふらしき一羽も飛べり
『論語』泰伯二 孔子の言。「恭にして礼なければ則ち労す。慎にして礼なければ則ちいじける。勇にして礼なければ則ち乱る。直にして礼なければ窮屈になる。君子、親に篤ければ則ち民仁に興る。故旧遺れざれば、則ち民が薄情でなくなる。」
いづれにしても礼守るべし君子なれば親を思ひへば仁なるべしを
『正徹物語』147 「思ひきや」「我が恋は」という五文字は、この四、五十年詠んだことはない。思うに両方とも気障で嫌味な詞である。「我が恋」といはずとも、他の誰があなたの恋を論ずるか。「思ひきや」の代りに、「思はずよ」「知らざりき」などと詠む。
思ひきやと詠むことはなし他の誰がおのが恋なぞを論ずるかなや
『伊勢物語』九十七段 堀河の大臣(藤原基経)の四十の賀を、九条の邸で催した。
中将であった翁(業平)が、詠んだ。
・桜花散り交ひ曇れ老いらくの来むといふなる道まがふがに
これは、これは、知ってもいるが、よい歌である。
さくら花さかりをすぎて散りかかる老いへの道を迷はすごとく