曇り気味だけど、気温は上がっている。楠公祭である。
この川の流れに逆らひ遡り花の木に会ふ葉ざくらの木
まだマスクに顔を歪めるわれならむまなこのみ動く憎しみこめて
『論語』述而三七 孔子は穏やかでいて、厳しく、おごそかであって烈しくはなく、恭謙でいて、しかも安らかだ。
孔子の教へおだやかでなほ厳しくておごそかになほ安らかならむ
『正徹物語』145 定家が言われた、「歌を案ずる時は、常に白氏文集の『故郷に母有り秋風の涙、旅館に人無し暮雨の魂』という詩を吟ぜよ。この詩を吟ずれば、心がたけたかくなり、よい歌が詠まれる。」「また、『蘭省の花の時錦帳の下、廬山の雨の夜草庵の内』とある。「旅館に人無し暮雨の魂」は、旅先の宿所にたった一人でいるところに、ほろほろと雨の降りだすのは、誠に心細きものである。「なき人こふる宿の秋風」(玉ゆらの露もなみだもとどまらずなき人こふる宿の秋風 拾遺愚草2774)は、この詩の心にかなっている。
白居易の詩に学ぶべしつねに諳んじ読みはべるばし
『伊勢物語』九十五段 むかし、二条の后(高子)に仕えていた男がいた。同じく后に仕える女としばしば会う機会があり、その女にずっと求婚していた。「簾越しにしても、どうにか会いたいものだ。そうして、おぼつかなく思いつめたことを、晴れ晴れとさせたいものだ。」と男が言ったところ、女は簾越しに会ってくれた。あれこれ物語の後、男が詠んだ。
・彦星に恋はまさりぬ天の河へだつる関を今はやめてよ
この歌にほだされて、女は男と直接に逢った。
男の強い気持ちが通じたのですね。よかった、よかった。
天の河を隔つるが今宵逢ひにけりわれは彦星、織女をおもふ