2024年4月24日(水)

朝からこまかい雨。止んでいる時もあるが、雲が雨を降らせる。しとしと雨が続いている。

  ゴミ袋にコバエ一匹つぶしたり孤独であつたか無言に死にき

  わが家には今年はじめてのコバエなり疎ましけれど親しきものあり

  一匹ゐればどこかにひそむ仲間たち孤独のコバはまづはなからう

今回は、『論語』『正徹物語』『伊勢物語』はお休み。先日読んだ「玲瓏」4月号「塚本邦雄作品研究座談会『黄金律』PARTⅡ」に取り上げられた歌を載せておく。

  ・柿の花踏んですなはちおもむかむ碧軍派てふ旗幟のなびかば

  ・これつぱかりのしあわせに飼ひ殺されて今朝も木苺ジャム琥珀色

  ・魚梅の改装成れり深海のいろくづロココ調にならべて

  ・三次の街に晝飯くらふさびしさは北さして流れゆく川ばかり

  ・よろこびの底ふかくして迢空賞うけしその夜のほとほとときす

  ・二人ゐて孤立無援の秋ふかしみちのくの歌枕に「(けふ)()

  ・三句切れ切れつつ冱えつ西行よりかすめとつたる砂金いささか

  ・片陰が急に華やぎ蝙蝠傘修繕人の荷の凶器展

  ・百年後のわれはそよかぜ地球儀の南極に風邪の息吹きかけて

  ・寒葬、柩はおもふ五分間ああそこの日向に出てみたい

  ・秋風に白刃のにほひ蛇笏忌といふ忌日名のまがまがしけれ

  ・山茱萸泡立ちゐたりきわれも死を懸けて徴兵忌避すればできたらう

  ・鮮紅のダリアのあたり君がゆかずとも戦争ははじまつてゐる

  ・桃山産婦人科メスの音さやぎ除外例ある生のはじめ

  ・絶唱にちかき一首を書きとめつ机上突然枯野のにほひ

ちなみに座談会の出席者は、小黒世茂・尾崎まゆみ・島内景二・塚本青史・林和清である。

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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