2024年4月20日(土)

今日は晴れて、暖かい。どころか暑い。

  むらさきの花が道路の割れ目からはみ出して咲くたのしからむや

  歩く先につぎつぎにあるむらさき草色濃きさねさしさがむは

  灯したるあかりのごとき西洋たんぽぽその濃き黄色いのちある如

『論語』述而四 「子之燕居、申申如たり、夭夭如たり。夭如也」孔子先生のくつろぎの様子は、のびやかであり、にこやかである。

  孔子のくつろぎの様をたとふれば申申如たり夭夭如たり

『正徹物語』113 「染めばぞうすき色を恨みん」とは、逢はざる心なり。逢ひてこそうすき色をも恨みめとなり。
・人心一はな衣ひとたびも染めばぞうすき色を恨みん

  きみ去なばうすきぞ色もさくら花逢ひ見ることもかなはざりしか

『伊勢物語』六十三段 年を重ねても、恋することをあきらめられない女がいた。どこかにいい男がいないかと思っていたが、口にだすことは、憚られた。女は夢を借りて、恋をのぞんでいることを、息子たちに訴えた。上の二人はとりあわなかったが、三男は、「それはよい夢見です。きっといい男があらわれる」と言った。女は気を良くする。

三男は思った。どうにかして在原業平に母を会わせてやれないかと考えた。他の男ではだめだ。業平ならば。

業平が狩をしているところに三男は行きあう。三男は業平の馬の手綱の口をとり、引きとどめた。「母のためにどうか」三男が乞うと、業平は不憫に思い、女と寝た。業平は、それだけで女を訪れることはなかった。

女は、業平の家へゆき、そっと覗きみた。業平は女の気配を感じて、詠んだ。
・百年を一年たらぬつくも髪われを恋ふらし面影に見ゆ

業平は、女の家を訪ねようとしているのではないか。女は、家に走って帰った。道々、茨やからたちの棘にからまったが、ひたすら走った。帰り着くと、男を待った。業平は、女がしたのと同様、こっそり覗いた。女は、溜息をつき、詠んだ。
・さむしろに衣かたしき今宵もや恋しき人に逢はでのみ寝む

なんと不憫な。その夜ふたたび女と寝た。世の中の例として、思ふをば思ひ、思はねば思はぬものを、この人は、思ふをも、思はぬをも、けぢめ見せぬ心なむありける。

  業平のまめごころこそ貴きなり思ふ思はぬのけぢめなかりき

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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