夕べは雨が降ったようで、地面が濡れているが、今朝は晴れて気温が上昇しいる。
茶碗に熱き麦茶を注ぐとき湯気立てばけふのはじまりや 吉
しかしまだ蛇口から出る水冷たくとても春とは思へざらめや
定家卿の「顕注密勘」自筆本あきらに定家の悪筆に成る
『論語』述而二 前回、間違えて三を読んでしまったから、今日は、二を読む。
孔子が言う。「黙してこれを識し、学びて厭はず、人に誨へて倦まず」。そぐらいは私にとって、何でもないことだ。
二と三を取り違へたるその為か孔子の自讃辟易もせず
『正徹物語』112 「雲に寄する恋」の題でこのように詠んだ。
・思ひわび消えてたなびく雲ならばあはれやかけん行末の空
「消えてたなびく」は、いっそ死んでみたい、ということだ。「死にたりと聞けば、哀れやかけん」という意味である。
死にたればあはれやかけん亡き人のなつかしき顔忘れざりけむ
『伊勢物語』六十二段 何年もの間、夫は女のもとへ訪れてこない。あさはかなことに、女はつまらぬ言葉にのって、都落ちした。女は、使用人になる。そこへ、偶然元の夫が来る。女は端女として、元の夫の給仕をした。夜になって、「さっきの端女を、私のもとに寄越してください」と主人に言った。女は連れて来られて、男は「わたしのことを、おぼえているでしょうね」と言い、詠んだ。
・いにしへのにほひはいづら桜花こけるからともなりにけるかな
女は、うちひしがれ、声もでない。「なぜ答えない。」「涙で、目も見えず、ものもいえません。すると男はさらに詠んだ。
・これやこの我にあふみをのがれつつ年月経れどまさり顔なき
衣服を脱いで与えたものの、女は捨てて逃げた。「いづちいぬらむとも知らず。」
男は、逃げた女にしつこく、ひどくはないですか。女があわれに思われます。
元夫の仕打ちに女逃ぐるよりすべなからむぞあはれ何処に