2024年4月19日(金)

夕べは雨が降ったようで、地面が濡れているが、今朝は晴れて気温が上昇しいる。

  茶碗に熱き麦茶を注ぐとき湯気立てばけふのはじまりや 吉

  しかしまだ蛇口から出る水冷たくとても春とは思へざらめや

  定家卿の「顕注密勘」自筆本あきらに定家の悪筆に成る

『論語』述而二 前回、間違えて三を読んでしまったから、今日は、二を読む。

孔子が言う。「黙してこれを識し、学びて厭はず、人に誨へて倦まず」。そぐらいは私にとって、何でもないことだ。

  二と三を取り違へたるその為か孔子の自讃辟易もせず

『正徹物語』112 「雲に寄する恋」の題でこのように詠んだ。
・思ひわび消えてたなびく雲ならばあはれやかけん行末の空

「消えてたなびく」は、いっそ死んでみたい、ということだ。「死にたりと聞けば、哀れやかけん」という意味である。

  死にたればあはれやかけん亡き人のなつかしき顔忘れざりけむ

『伊勢物語』六十二段 何年もの間、夫は女のもとへ訪れてこない。あさはかなことに、女はつまらぬ言葉にのって、都落ちした。女は、使用人になる。そこへ、偶然元の夫が来る。女は端女として、元の夫の給仕をした。夜になって、「さっきの端女を、私のもとに寄越してください」と主人に言った。女は連れて来られて、男は「わたしのことを、おぼえているでしょうね」と言い、詠んだ。
・いにしへのにほひはいづら桜花こけるからともなりにけるかな

女は、うちひしがれ、声もでない。「なぜ答えない。」「涙で、目も見えず、ものもいえません。すると男はさらに詠んだ。
・これやこの我にあふみをのがれつつ年月経れどまさり顔なき

衣服を脱いで与えたものの、女は捨てて逃げた。「いづちいぬらむとも知らず。」

男は、逃げた女にしつこく、ひどくはないですか。女があわれに思われます。

  元夫の仕打ちに女逃ぐるよりすべなからむぞあはれ何処に

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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