曇り。寒い。夕方、雨がくるらしい。
いつまでも余寒のごとき日がつづく三月下旬けふも晴れざる
水仕事にトイレが近しこれもまた老いの証しか致し方なし
風呂上がりのメガネが曇る鏡のうち輪郭暈けし異形のすがた
『論語』雍也一三 孔子が子夏に言った。おまえは「君子」としての「儒」となりなさい。「小人の儒と為ること無かれ。」単に名誉を求める学者ではなく、わが身を修養する学者になれということだ。
子夏にいふ汝よ君子の儒と為れよ誤まっても小人の儒に為るなかれ
『正徹物語』92 定家の書(「詠歌大概」)に「歌に師匠なし。古きを以て師とす」とあり、「心を古風に染めて、詞を先達にならはば、誰か歌詠まざらん」と言った。
心を古風に染めて歌ふべし古人に詞よく倣うふべし
『伊勢物語』四十三段 賀陽の親王(桓武天皇第7皇子)という親王がいた。親王は、一人の女性を寵愛していた。目をかけ、大事にしていたが、その女に、ある男が色めかしいそぶりを見せた。すると、また違う男がその話を聞きつけた。男は男で、女と深い仲にあるのは、自分だけだと思っていたのだ。男は、ほととぎすの絵とともに文をやった。
・ほととぎす汝が鳴く里のあまたあればなほうとまれぬ思ふものから
すると女は、男の機嫌をとり、こう詠んだ。
・名のみ立つしでの田をさは今朝ぞ鳴く庵あまたとうとまれぬれば
時は五月、男は返した。
・庵多きしでの田をさはなほ頼むわがすむ里に声し絶えずは
男は、女の気持ちを取り返すことが出来たのでしょうか。それともこんな多情な女を振ってしまったのでしょうか。私なら後者を選びますが、どうもそうではないような。それが「あはれ」なのでしょうか。