寒い。都心は雪だったらしが、このあたりは冷たい雨。やがて上がる。そして、また降る。
カフェ・オ・レを飲めば少しく目が覚めて悪夢の夜も明けてゆくなり
いくたびも夢にめざめてこころぼそしああ悪夢あり夢に逃げをり
鈍色の夜明けが襲ふくるしくつらく夢にし悩む
『論語』公冶長二一 孔子が言った。甯武士(衛の国の大夫)は、国に道あるときは智者、国に道のないときは愚かであった。智者ぶりはまねできるが、愚かぶりはまねできない。
道あれば智者なりそして道なくば愚者にして甯武士ひよりみなりき
『正徹物語』72 薬師寺の元可入道(高師直配下の武士。二条派歌人)の歌に次の歌がある。
・五月雨の布留の中道しる人や河と見ながら猶わたるらん
・夕暮の色なる槇の嶋津鳥宇治の夜川とかがりさすなり
・同じくは我がかくれ家の山桜花も憂き世の風をのがれよ
いづれも『新後拾遺和歌集』に入集。
『伊勢物語』二十二段 むかし、はかなくて絶えにける仲の男と女がいた。別れてしまったが、忘れがたかったのか、女から、こういってきた。
・憂きながら人をばえしも忘れねばかつ恨みつつなほぞ恋しき
男の返歌、
・あひ見ては心ひとつをかはしまの水の流れて絶えじとぞ思ふ
「その夜いにけり」。そして、
・秋の夜の千代を一夜のなずらへて八千代し寝ばや飽く時のあらむ
女の返歌、
・秋の夜の千代を一夜になせりともことば残りて鶏や鳴きけむ
「いにしへよりもあはれにてなむ通ひける。」なんだかいい話のようだが。