昨日は雪で、町の屋根が白くなるほどには降った。海老名に珍しい降雪であった。明けてもまだ白いし寒い。
雪降れば町しづかなり瓦屋根に白く積もれる雪の暈あり
県道の降雪は溶けて往く自動車来る自動車さも不自由ならず
傘さしてゆつくり進む老いわれを追越し無笠にふりむく旅人
『論語』里仁一五 孔子が「参(曾子)よ、吾が道は一以てこれを貫く。」曾子は「唯(はい)と答えた。先生が出てゆくと門人が問うた。「どういう意味でしょうか。」曾子は言った。「夫子の道は忠恕のみ。」忠は内なる真心に背かぬこと。恕は真心による他人へのおもいやり。
わが道は一に貫く忠と恕に他ならず孔子、曾子にのたまふ
『正徹物語』41 恋歌は、女房の歌に心の底まで沁み込むような情趣の深いものが多い。式子内親王の
・生きてよも明日まで人もつらからじこの夕暮をとはばとへかし 新古今1329
・忘れてはうちなげかかる夕かな我のみ知りてすぐる月日を 新古今1035
などの歌は幽玄。俊成の女の
・夢かとよみし面かげも契りしも忘れずながらうつつならねば 新古今1391
また宮内卿の歌
・聞くやいかにうはの空なる風だにも松におとするならひありとは 新古今1199
など骨の髄まで深く染み入るような歌は、通具や良経などでも思いつけないであろう。
恋歌は女流歌人の歌がよし通具、良経などにもおもひよりがたし
「時代不同歌合」後鳥羽院撰。上
・をとめ子が袖振る山のみづがきの久しき代より思ひ初めてき 人麻呂
・花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に 小野小町
・色見えで移ろふものは世の中の人の心の花にぞありける 小野小町
・霞立つ春の山辺は遠けれど吹き来る風は花の香ぞする 在原元方
・いづくとも春の光は分かなくにまだみ吉野の山は雪降る 凡河内躬恒