2023年11月5日(日)

まあまあいい天気である。

  薬剤を服用せむと水を汲む浄水にして良き水を汲む

  一服にああこの世界にわれ在るをたしかめてゐる水の冷たさ

  この世から他界へつながる坂上る出雲(いづも)国(のくに)の伊賦(いふ)夜坂(やのさか)を

中上健次『千年の愉楽』を読む。やっぱり中上健次はいい。オリュウノオバ、路地の産婆だが、その目から見た「中本の一統」の血、暴力と早死の系譜が小説の内容だ。文章がいい。露地と他界が混在したかのような祈りが、お経のような文体で綴られる。半蔵、三好、文彦、オリエントの康、新一郎、達夫と早世の顛末が語られる。

  生に重きオリュウノオバに語られて路地の物語よし中本の血よし

『老子』下篇76「強大なるは下(しも)に処(お)り、柔弱なるは上(かみ)に処る。」
『徒然草』183段

  人觝(つ)く牛、人喰ふ馬、人喰ふ犬いづれも咎あり律のいましめ

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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