夜、くらがりで妻に書きとってもらう。季節がずれているが。
春の日に途方に暮れて立つくす二、三分咲きの花のもとにて
22日から今までコロナの妻と私に、もっとも献身的な手当てを行なっていた娘が今日からいない。
コロナ禍に罹りくるしむ妻の軀を真摯に娘は看病したり
尾崎真理子『大江健三郎の「義」』(講談社)読了。大江の小説には、隠れた三本の柱があるという。柳田國男であり、島崎藤村、平田篤胤である。西洋の知性に格闘した大江を含む四人の日本人を追って、いやあ実におもしろかった。柳田、藤村を繋ぐのは平田国学であり、奇妙このうえもない。
大江健三郎が柱にしたる國男、藤村、篤胤いづれも田舎びとなり
藤村の『夜明け前』読みしは幾年まへ圧倒的なる青山半蔵