2021年2月9日(火)

橋をわたりとなりの町へ鴨遊ぶ川のながれを覘き込みつつ

清響乾坤を包む一瞬をおもひみむとし想ひみがたき

<主人メモ>
綱淵謙錠『史談往く人来る人』を読みはじめるとすぐに

     五十余年の夢
     覚(さ)め来(きた)って一元に帰す
     截箭(せつせん)弦(つる)を離るる時
     清響(せいきよう)乾坤(けんこん)を包む

という素敵な五言絶句に出会った。
江戸時代前期、越後高田藩のお家騒動の際、
将軍綱吉の裁断で切腹を命ぜられた小栗美作の辞世である。
綱淵は、この綱吉の断を「自分の将軍襲位に反対した越後光長と大老酒井忠清に
復讐するための政治裁判だと見ている」と複雑な政治劇を読み取り、
小栗美作の人物に賛辞を贈る。
切腹も「見事である。」「辞世もいい。」「生死の転瞬を矢の弦を離れる響きに託して」と語る。
たしかに清新すがすがしい気を感ずる作である。
偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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