2022年5月30日(月)

朝から20度を超えて暑い。午前中本厚木へ。珈琲を飲んで帰ってきた。中庭の一本の夏つばきに花がひとつ咲いている。

キッチンの(あした)の床に落ちてゐる菠薐草の根の乳首色

沙羅の木に沙羅の花咲くしろき花五弁の花びら透けたるごとく

松浦寿輝『夢月の譜』をようやく読み終えた。今月は本を四冊しか読んでいない。ふつうの月なら最低十冊は読むのだが、『暗夜行路』、『斑鳩の白い道のうえに』、いづれも再読にもかかわらずハードな、そして時間もかかった。あとは岡野弘彦『伊勢の国魂を求めて旅した人々』、これは書評を求められての読書。しかし、どの本も充実した読後感を与えてくれた。

『夢月の譜』は、戦死した大叔父が創った将棋の駒を追う物語であり、日本国内のみでなくシンガポール、マレーシア、アメリカと彷徨する松浦らしい物語性があり、最後は明るく展開して終わる。なかなか楽しい時間であった。満足である。

「ふつうの町でふつうに生きて死んでゆく――ひょっとしたらそれが、一人の人間が手に入れることのできる最高の幸せ、あるいは贅沢なのかもしれない」

大叔父の残せる「夢月」を追ふ旅のその道行きをわれは愉しむ

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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