2022年2月25日(金)

井上荒野『あちらにいる鬼』を読んだ。父、井上光晴とその妻、そして井上の愛人であった瀬戸内寂聴との三人の関係を井上の娘、荒野がえがいた小説だが、凄い。それぞれ白木篤郎、笙子、長内みはるとして描かれ、その不思議な関係が、娘によって、すぐれて濃密にえがかれ、読むものを圧倒する。わたくし不覚にも、笙子の死の場面では、目のふちにじわっと涙を滲ませた。この不自然な愛の形をあらわす小説を何と呼べばいいのだろう。ただただ凄い。

濃密なる小説世界を脱けだせずもんもんと朝のふとんにもぐる

今日は、すこし暖かく感じられる。虫たちは敏感だ。

空中を小さな蟲が浮遊する老いに枯れたるわれをもめぐる

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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