2021年11月29日(月)

野口冨士男『風のない日々/少女』読了。
二・二六事件の前年、社会が暗くなってゆく時代の市井の夫婦のすれ違いを淡々とした筆致で綴り、妻殺しに至る日々を丁寧に描いた「風のない日々」。戦後の混乱の時期、誘拐した十二歳の少女との逃避行と心の通い合いを話題にした野口の小説としては珍しいもので、この二作、いやあよかった。

  薄雲の流るるやうに掛かりたる晩秋の空はるかなるかも

  一晩のふとんのぬくみを抜けがたく老いぼれたればぐずぐずとゐる

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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