朝方寒いくらいに涼しかったが、日中はまた暑いらしい。
薄灰色 に大空は雲多くしてけさは晴れ間も見ることなしに
雲の端より間違って落つるかポツンポツンは淋しくあらず
パラソルを空にひらけば音がするタタタンタタタンタンタタタン
『論語』顔淵二 仲弓、仁を問ふ。孔子が言ふ。「門を出でては大賓を見るが如くし、民を使ふには大祭に承へまつるが如くす。己れの欲せざる所は人に施すこと勿れ。邦に在りて怨み無く、家に在りても怨み無し。」仲弓が言った。「雍、不敏なりと雖ども、
請ふ、斯の語を事とせん。
仁といふは厄介なるに仲弓は不憫なれどもこの語に励まん
『春秋の花』 三島由紀夫
・跳ねてゐる魚は、何か烈しい歓喜に酔ひしれてゐるやうに思はれる。朝子は自分の不幸が不当な気がした。三島由紀夫『真夏の死』(1951)
・行きかけて朝子は振向いた。海は静かである。かなり陸に近い海面に、銀白色に跳躍する光がある。魚が跳ねてゐるのである。」に続けて掲出の一節に結びつく。
「時として凡百の作者が着目しない(着目し得ない)人世の瞬間的実相に着目して凡百の作者が書かない(書き得ない)品の高い何行かを描いた。三島の作は、もっぱらそこに存在理由を持つ。
・私にとっては作家の真の誠実とは、おのれの製作の幸福感に対する、あらはな、恥知らずの誠実に尽きると思はれる。(『日記』より)
烈しい歓喜に酔ひて跳ぬる魚ただ恥知らずの誠実に跳ぶ