またまた暑い。
桃三つ取り待ち撃てば黄泉の国を逃れ出でたるわれにやあらむ
渋滞を避けて中央高速路。路面荒れ、跳ぬ。後部座席は
桃の実を二人で分けて語りあふ旅の終はりは少しさびしく
『論語』郷黨一五 君に侍食するに、君祭れば先ず飯す。
主君とともに食事をする時は、(毒みの意味で)先に食べられた。
主君に仕えるコツですか。
主君とともに食するときはおのれから先づ食すべし毒見のために
『百首でよむ「源氏物語」』第四十一帖 幻
紫の上の死を悲しむ源氏。
・わが宿は花もてはやす人もなし何にか春のたづね来つらん 光源氏
・香をとめて来つるかひなく大方の花のたよりと言ひやなすべき 螢兵部卿宮
紫の上に仕えていた女房たちと話す。雪が積もった。
・うき世にはゆき消えなんと思ひつつ思ひの外になほぞほどふる 光源氏
*
・さもこそは寄るべの水に水草ゐめ今日のかざしよ名さへ忘るる 中将の君
・大方は思ひ捨ててし世なれどもあふひはなほやつみをかすべき 光源氏
その年の暮れ、仏名の行事に光源氏が姿を見せた。その姿は昔に増して光輝いてみえた。
・もの思ふと過ぐる月日も知らぬ間に年も我がわが世も今日や尽きぬる 光源氏
光源氏最後の歌である。
あんなにもひかりかがやきしその人もつひに果てなむ日もあるものを
『春秋の花』(大西巨人)春の部 有島武郎
「前途は遠い。而して暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。/
行け。勇んで。小さき者よ。」短編『小さき者へ』1918年)の結び。
・世の常のわが恋ならばかくばかりおぞましき火に身はや焼くべき
小さき者よ恐れてはならぬ恐れざる者の前にこそ道は開くる