朝方はちょっと涼しかったが、暑い。
時として孫の笑顔が癖になるわれも爺、妻も婆
頼りなげに長く歩きてふり返る笑顔、真からの孫の笑顔
不可思議の神の宿るか孫の笑顔まんめん笑ふわらひ崩れる
『論語』先進三 徳行には顔淵・閔子騫・冉伯牛・仲弓。言語には宰我・子貢。政事には冉有・季路。文学には子游・子夏。
それぞれに得意分野があるものを孔子その弟子を指定したまふ
『百首でよむ「源氏物語」』第五十一帖 浮舟
・長き世を頼めてもなおかなしきはただ明日を知らぬ命なりけり 匂宮
・心をば嘆かざらまし命のみ定めなき世と思はましかば 浮舟
浮舟のことを思っていたのは香。しかし匂宮に出し抜かれてしまった。
・波越ゆるころとも知らず末の松待つらむとのみ思ひけるかな 薫
警護が厳しい浮舟が匂宮へ。
・骸をだにうき世の中にとどめずはいづこをはかと君もうらみむ 浮舟
・のちにまた会ひ見むことを思はなむこの世の夢に心まどはで 浮舟
・鐘の音の絶ゆる響きに音を添へてわが世つきぬと君に伝へよ 浮舟
わが骸いづこにとどめむわからねば君もうらみむ宇治のはてなり
『春秋の花』 北川晃二
「もう春が近くなってゐた。いや来ていたのかもしれない。営庭の楊樹には小さい緑の萌しが斑にその枝を這ってゐた。」『逃亡』(1948)の冒頭。「戦場の小説」の一つ。
佐藤春夫の名訳「やなぎや楊/なよなよと風になびきてしどけなし」(『車塵集』)を思わせるが、しかし浪漫的一色ではない。
「若い君たちに/忘れずに云ってほしい/つぶやきではなく 大声で/「素晴らしいことがきっと起こる。」(詩『若ものに』の終節)
やなぎの葉、みどり流れて春がくる若ものよ大声に素晴らしきことを