またまた暑い、暑い。
昨夜、岡本綺堂『青蛙堂鬼談』を読み終えた。なかなか怖い。
めづらしく少しく早く人に会はず犬にも会はず孤独なる遊歩
相模川原までがけふのわが歩き砂利の道三百メートルを含み
朝に鳴く鳥の声愛らしく聞こえたりしばらく経てば鳴く鳥がある
『論語』先進二 孔子が言う。「陳や蔡について、私に言ったものは、もう門下にすっかりいなくなったね。」
陳は、今の河南省中部にあった小国。蔡はその南の国。孔子は流浪の途次このあたりで食糧も途絶え、苦しんだ。孔子64歳の頃。
陳・蔡に苦しむことももうとうに誰も言はざる時経ちにけり
『百首でよむ「源氏物語」』第五十帖 東屋
・見し人の形代ならば身に添へて恋しき瀬々の撫でものにせむ 薫
・御禊川瀬々にいださん撫でものを身に添ふ影とたれか頼まむ 中の君
形代を撫でものにせむ知り人を撫でたるものは頼りとやせむ
『春秋の歌』 紀長谷雄
夜の雨偸かに湿して/曽波の眼新たに嬌びたり
暁の風緩く吹いて/不言の口先づ笑めり
『和漢朗詠集』所集。「真のエロティシズム表現は、掲出詩のごとく、さわやかにしてなまめかしくあらなばならない。」
・九野民也作「かぼちゃのような峰々のふもと/やまめうぐいすが瀬々に泳ぎ/とんびが風に乗って鳴いている/山腹は雛壇よろしく桃林」(1995)
「瀬瀬走るやまめうぐひのうろくづの美しき春の山ざくら花 若山牧水
夜の雨ひそかに濡らす草林に分け入らむとすうるほいのもと