2024年8月15日(木)敗戦記念日

また暑いのである。

  大山にうす雲かかり霞みたり山のみどりも仄かに見ゆる

  麦茶のペットボトルをぶら提げて川までの道石礫つづく

  ポストより朝刊を取り九階へいそいそもどる一面見つつ

『論語』郷黨二一 孔子は、斉衰(しさい)の喪服をつけた人にあうと、懇意なあいだでも必ず様子をあらためた。冕者(冕の冠を着けた人)と瞽者(目の悪い人)にあうと、親しい間柄でも、必ず様子をあらためた。褻(喪服の人)には、式の礼を行なった。戸籍簿を持つ者にも礼をささげた。盛饌あれば、必ず顔つきをととのえて立ちあがった。」迅雷風烈には、必ず居住まいを正した。

  孔子のふるまひを上げこれこそが礼にかなふかやたらくはしき

『百首でよむ「源氏物語」』第四十六帖 椎本

匂宮、長谷寺詣での途中、宇治に寄る。
・山桜にほふあたりにたづねきて同じかざしを折りてけるかな 匂宮
・かざしをる花のたよりに山がつの垣根を過ぎぬ春の旅人 中の君

・我なくて草の庵は荒れぬともこのひとことはかれじとぞ思ふ 八の宮
・いかならむ世にかかれせむ長き世の契り結べる草の庵は 薫

八の宮が亡くなる。
・牡鹿鳴く秋の山里いかならむ小萩が露のかかる夕暮れ 匂宮
・涙のみ霧りふたがれる山里はまがきに鹿ぞもろ声に鳴く 大君
・雪深き山のかけ橋君ならでまたふみ通ふあとを見ぬかな 大君

  山里の宇治いかならむつぼねたちの親しきさまを慕ふなりけり

『春秋の花』 柿本人麻呂
・隼人の名に負ふ夜声いちしろくわが名は告りつ妻と恃ませ 『柿本人麻呂集』

『万葉集』巻十一所集。「上代婦人のおおらかな・しかも凛乎たる気風が首尾を支配する。」「あなたのプロポーズにお応えするべきことを、私は、こんなにはっきりいいました。この上は妻として頼りなさいませ。」というのが、明白な歌意。上代における「隼人の夜声」は「犬声」を表す。
・御食向ふ南淵山の巌には触れるはだれか消え残りたる
・遠妻と手枕交へてさ寝る夜は鶏が音な鳴き明けば明けぬとも

  隼人の夜声を聴きて心細きわれをたすけよ消のこる雪に

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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