今日も、とっても暑い。
李人稙(イ・インジク)『血の涙』を読む。韓国文学「新小説」の作品。オンギョンの平壌・大阪・アメリカへの変転の生。日清戦争の終結にはじまる韓国少女の遍歴。「人間にとって最悪のものがいくさじゃ。」そのとおりだ。
土の中は安穏、あんのん幼虫のままにまるくなるいつ蟬になる
蟬の穴が一つしかない木の傍を寂しく見てをり土の平を
太き、白き蟬の幼虫奇妙なるすがたに埋まる土の中なり
『論語』郷黨二〇 寝ぬるに尸せず(寝るときは死体のようにぶざまにならず)。居るに容づくらず(ふだんのときは容儀をつくらなかった)。
尸のやうにはい寝ずとりわけてふだんは容儀つくらずにゐる
『百首でよむ「源氏物語」』第四 十五帖 橋姫
ここから「宇治十帖」、薫と匂宮を主人公とする。
・橋姫の心を汲みて髙瀨さす棹のしづくに袖ぞ濡れぬる 薫
・さしかへる宇治の川をさ朝夕のしづくや袖をくたし果つらむ 大君
*
・命あらばそれとも見まし人知れぬ岩根にとめし松の生ひ末 柏木
薫は光源氏の子として育っているが、実は柏木の子である。出生の秘密。
岩の音にとめし松の木恋ひしくてわが子を思ふ死の後なれど
『春秋の歌』 道元
この心あながちに切なるもの、とげずと云ふことなき也。 正法眼蔵隋聞記
「心に念じて、私自身を激励した。」「いまも私は、制作について、また人生社会の万般について、掲出語を大いに尊重している。」
・山のはのほのめくよひの月影に光もうすくとぶほたるかな
この心切なるものよやりとげてとげずといふことわれになきなり