昨日までより気温は低くなっているようだが、暑いことに変わりはない。
木内昇『よこまち余話』(中公文庫)を読む。浩三少年を通して、駒さん、トメさん、遠野さんなどのあの世の人々が捉えられ、この横町、というか路地のあの世とこの世の交わるところが魅力的だ。
尖石の土に眠れる土偶あり孕み女が三角顔して
スーパーつるやにおやきを買へばわれもまたみこもかる信濃の老人なりき
コシヒカリ五キロを背負ひかへるべし黄泉にはあらず科の国なり
『論語』郷黨一四 君、食を賜へば、必ず席を正して先づこれを嘗む。君、腥(生肉)を賜へば、必ず熟して(煮て)これを薦む。君、生けるを賜へば、必ずこれを畜ふ。
君主は色々下さるのだが、食物は少し食べ、生肉は火を通し、いきているものは飼うのだ。
潔癖なる孔子とおもふ。あれこれの賜りものへの対応みれば
『百首でよむ「源氏物語」』第四十帖 御法(みのり)
法華経千部を奉納する仏事に紫の上を中心に歌を詠みあう。
・惜しからぬこの身ながらも限りとて薪尽きなんことの悲しさ 紫の上
・薪こる思ひは今日をはじめにてこの世に願ふ法ぞはるけき 明石の御方
*
・絶えぬべき御法ながらぞ頼まるる世々にと結ぶなかの契りを 紫の上
・掬びおく契りは絶えじ大方の残り少なき御法なりとも 花散里
紫の上は死を意識した。
・おくと見るほどぞはかなきともすれば風に乱るる萩の上露 紫の上
・ややもせば消えをあらそふ露の世におくれ先立つほど経ずもがな 光源氏
・秋風にしばしとまらぬ露の世をたれか草葉の上とのみ見ん 明石中宮
紫の上の死
・いにしへの秋さへ今の心地して濡れにし袖に露ぞおき添ふ 致仕の大臣
・露けさはむかし今とも思ほえず大方秋の夜こそつらけれ 光源氏
秋好中宮から
・枯れ葉つる野辺をうしとや亡き人の秋に心をとどめざりけむ 秋好中宮
・上りにし雲居ながらも返り見よ我秋果てぬ常ならぬ世に 光源氏
秋果てぬ我を見むとやあの世より紫の上返りきませよ
昨日で『正徹物語』を読み終えた。なんだか分かったような、分からなかったような。
正徹の蘊蓄を読まされているような古典であり、『徒然草』には、到底及び難い。
ということで、今日からは大西巨人のアンソロジー『春秋の花』を読んでいくことにしたい。大西巨人は、『神聖喜劇』をはじめ、没後の『日本人論争』中の自作の短歌を見ても短歌好きであったことがわかる。『春秋の花』は、短歌のみではないが、読んでいきたい。
とはいえ今日は満腹である。明日からのことにしよう。