2024年7月17日(水)

朝からずっと曇りが続くらしい。

深町秋生『鬼哭の銃弾』(双葉文庫)を読む。「スーパーいちまつ強盗殺人事件」を追う、退職刑事の父と現役刑事の息子の葛藤が凄いし、顛末も凄い。

  礼をするごとくに繁るあけぼの杉雨降ればしとど濡れそほちつつ

  雨に濡れしたたる葉むら下がりをりあけぼの杉のみどり増しつつ

  湿り気にかすかな小田急小田原線橋梁わたる音も湿りて

『論語』子罕二七 孔子が言う。「敝れたる縕袍を衣、狐貉を衣たる者と立ちて恥ぢざる者は、其れ由(子路)なるか。」

  破れたる縕袍を着て毛皮着る者とし立てど由は恥ぢざる

『正徹物語』195 「煙に寄する恋」という題で、このように詠んだ。
・立つとてもかひなし室の八嶋もる神だにしらぬむねの煙は 草根集4643

「室の八嶋洩る」から「護る神」へさっと変化させる箇所で、斬新なものになった。しかしこれも一回限りで「室の八嶋もる」という句を、二度とは詠むまいと肝に銘ずべきである。少し昔には「池にすむをし明けがた」「露のぬきよはの山かぜ」といった句は、二度真似て詠んでは名折れと思ったものだ。

  煙たつ室の八嶋をもる神もしらぬ恋するわれならなくに

『百首でよむ「源氏物語」』第二十一帖
葵の上と光源氏のあいだに生れた夕霧の元服、六位に任ず。
・紅の涙に深き袖の色を浅緑にや言ひしをるべき 夕霧

官位に満足はしていません。
源氏は新しき邸を新築した。
・心から春待つ園はわが宿の紅葉を風のつてにだに見よ 秋好中宮

  春待つも秋待つもともに風にのりけはひ伝へ来るを待つのみ

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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