雨っぽかったが、曇りというところか。午後、雨らしい。
樹皮破れてますぐなる枝に繁りあふ欅の葉夏の天蓋をなす
洞と洞つなぐ破れ目の長く伸び崩壊ちかきか一樹のけやき
うすみどり色に錆びたる幹のうへのけやきの葉むらに守られてゐる
『論語』子罕二七 孔子の言。「敝れたる縕袍を衣、狐袍を衣たる者と立ちて恥じざる者は、其れ由(子路)なるか。」
身穢き者と平気でたちたるは由なり他には誰もかなはず
『正徹物語』193 歌は極信体に詠めば、間違いはない。されどもそれは勅撰集の一体であり、それだけで堪能とはいはれがたい。これは御子左家が三流に分かれて以来、次第にこんな風になっていった。京極為兼は生涯の間、ひたすら奇矯な歌のみを好んで詠まれた。同じ時代に、二条為世はいかにも謹厳な極信体を詠まれたために、頓お阿・慶通・浄弁・兼好といった高弟も、みな師家の歌風を継承して、謹厳の体だけを歌道の到達点と思って詠んだので、このころから和歌がつまらなくなった。各流派に分裂する前は、俊成・定家・為家の三代とも、いかなる体をも詠んでいた。
だんだんに窮屈になる和歌の道さまざまな体を詠むべきならむ
『百首でよむ「源氏物語」』第19帖 薄雲
・末とほき二葉の松に引きわかれいつか木高きかげを見るべき 明石の御方
藤壺の死。
・入日さす峰にたなびく薄雲はもの思ふ袖に色やまがへる 光源氏
山の端の薄鈍色にくれゆかむおもふ人けふみまかりしもの