朝から雨、それも激しい雨だ。
昨夜よりの雨はげしくも降り来たるこの雨中をゆくゴミ捨てにゆく
雨に濡れて下垂るあけぼの杉の葉を振り返り見るその水びたし
皐月つつじの枝繁りあふ垣の間のそこ濡れてあれば入りがたきぞ
『論語』子罕一〇 孔子は、斉衰の喪服をつけた人と、冕の冠に装束した人と、そして目の悪い人にあうと、見かけたときにはどんなに若い人でも必ず立ち、そばを通り過ぎればきっと小走りになった。
斉衰の者、冕衣装の者、瞽者見れば孔子立ちあがる、必ず走る
『正徹物語』176 「在所を隠す恋」とは、相手が居場所を隠すのである。つまり居場所を隠される。「厭ふ恋」も「忘るる恋」も、「厭われる」「忘れられる」である。こうした題は、みな「被」という字を添えて理解するのがいい。
嫌はれて在所も知らせぬ女がゐるなんともしがたしそのつれなさよ
『百首でよむ「源氏物語」』第二帖
・つれなきをうらみも果てぬしののめにとりあへぬまでおどろかすらむ 光源氏
・身のうさを嘆くに飽かで明くる夜はとりかさねてぞねも泣かれける 空蟬
・帚木の心を知らで園原の道にあやなくまどひぬるかな 光源氏
近寄ればはなれてゆくか空蟬のつひのおもいにまどふわれなり