雨。よく降る。激しく降るらしい。
わが眼鏡と妻の眼鏡が卓上に対峙してゐる睨みあつてる
近視度はすこしだけわれが勝つもののメガネのセンスは妻のはうがいい
卓上に妻のメガネが開いたまま本を読んでる百ページあたり
『論語』泰伯二一 孔子が言った。「禹は吾れ間然することなし。飲食を菲くして 孝を鬼人に致し、衣服を悪しくして美を黻冕に致し、宮室を卑くして力を溝洫に尽くす。禹は吾れ間然すること無し。」
禹の国を大絶賛する孔子なりされどいにしへ今は無き国
『正徹物語』166 懐紙を書くに、下をあけない。上を十分あけてあるのがよい。
懐紙にも書き方がある下をあけず上をあけるよろしかかろうか
『伊勢物語』百十六段 陸奥の国まであてもなくさまよう男がいた。陸奥から京へ、思う人に歌をおくった。
・波間より見ゆる小島の浜びさし久しくなりぬ君にあひ見で
「旅に出て、かえってあなたのことを思うようになったのです」という意味なのだった。
最後のことばはいるのでしょうか。歌だけで充分わかりますが。
みちのくはさびしきものよ京に住む君を思ひてすべあらざらむ